このページの要点
- 許可・登録・認定は呼び名の違いにとどまらず、受ける単位(事業者・営業所・施設)と有効期間、変更や廃止の届出が制度ごとに違う。
- 契約書には、呼び名ではなく、種類・交付した官庁・番号・有効期間・対象の範囲で特定した「許可等」を書く。
- 契約期間と許可の有効期間は別の時間割。更新の確認と失効の通知を、期限を切った条文にしておく。
- 許可の申請の手続や要件は扱わない。許可を持つことを前提にした契約書と規約の書き方に絞る。
結論:呼び名ではなく「誰の・どの範囲の・いつまでの許可か」を契約書に書く
食品の製造や施設の運営、中古品(古物)の買取や卸、警備、旅行の手配。これらは、事業を始める前に国や都道府県の関与が要る分野です。法律の言葉は分野ごとに違い、食品と古物は「許可」、警備は「認定」、旅行業と旅行サービス手配業は「登録」と呼ばれます。ただ、契約書を作る立場から見て大切なのは、呼び名の違いそのものではありません。相手が受けているものが、誰に対する、どの範囲の、いつまで有効なものなのかを、契約書の文言に落とし込めるかどうかです。
たとえば「乙は必要な許認可を有する」と一行書いても、どの許認可なのかが特定されていません。乙が複数の営業所や施設を持つとき、契約の業務を行う場所がその対象に入っているのか。有効期間は契約期間の途中で終わらないのか。更新を受けなかったとき、甲は何をすればよいのか。こうした点は、一行の約束からは読み取れません。
このページでは、四つの分野の制度を並べて違いを整理し、その違いが契約書のどこに効いてくるのかをたどります。後半では、許可に関する条を契約書に置くときの型を示します。型の中身を一つずつ掘り下げる各論は、許可の保有を相手に約束させる契約条項のページで扱っています。
なお、このガイドが扱うのは「許可を受けていることを前提にした契約書と規約の書き方」です。許可・登録・認定を受けるための手続、要件、必要書類は扱いません。また、警備員や買取の担い手、手配の担い手を人としてどう使うかという労務の面にも立ち入らず、許可・資格・書面の面からだけ書きます。
四つの分野の制度を並べる:単位・有効期間・変更・取消し
まず、条文に書かれている骨格を分野ごとに並べます。ここで見ておきたいのは四点です。許可などを受ける単位は何か(事業者か、営業所か、施設か)。有効期間はあるのか。変更や廃止があったとき届出が要るのか。そして、行政庁が取消しや停止をできるのはどんなときか。契約書の条項は、この四点のどれに結び付くかで決まります。
分野ごとの許可・認定・登録の骨格
食品営業の許可食品衛生法54条〜61条
- 誰が受けるか
- 営業を営もうとする者が、都道府県知事の許可を受ける(55条1項)。許可を要する営業は政令で定められ、施設の基準は都道府県の条例で定められる(54条)
- 単位
- 営業の施設が基準に合うかどうかを見て許可される(55条2項)。契約書では、どの施設についての許可なのかを特定する
- 有効期間
- 知事は、許可に五年を下らない有効期間などの条件を付けることができる(55条3項)。期間があるか、いつまでかは、許可の内容で確かめる
- 地位の移転
- 営業の譲渡、相続、合併、分割があると許可営業者の地位が承継され、承継した者は遅滞なく届け出る(56条)
- 取消し・停止
- 法令違反による取消しや営業の停止(60条)、施設の基準違反による整備改善命令・取消し・停止(61条)
古物商の許可古物営業法3条〜8条・24条
- 誰が受けるか
- 古物商を営もうとする者が、都道府県公安委員会の許可を受ける(3条)。許可証は、許可をした公安委員会が交付する(5条2項)
- 単位
- 許可は古物商に対して与えられ、営業所ごとに管理者を置く(13条1項)。許可申請書には、営業所ごとに取り扱う古物の区分も記載する(5条1項3号)
- 有効期間
- 許可の条(3条〜8条)には、有効期間や更新の定めは置かれていない
- 変更・廃止
- 営業所の名称・所在地などの変更は届出(7条)。営業を廃止したときは許可証を返納し、許可は効力を失う(8条)
- 取消し・停止
- 許可の取消し(6条)。違反があったときの許可の取消しと、六月を超えない範囲での営業の停止(24条1項)
警備業の認定警備業法3条〜11条
- 誰が受けるか
- 警備業を営もうとする者が、都道府県公安委員会の認定を受ける(4条)。認定を受けて警備業を営む者が警備業者(2条3項)
- 単位
- 認定の申請事項には、営業所ごとの取り扱う警備業務の区分が含まれ(5条1項2号)、指導教育責任者も営業所・区分ごとに選任される(22条1項)
- 有効期間
- 五年(5条4項)。引き続き営むには更新を受ける必要があり(7条1項)、有効期間が満了すると認定は効力を失う(7条5項)
- 変更・廃止
- 記載事項の変更は届出(11条)。他の都道府県に営業所を設け、または警備業務を行うときも届出が要る(9条。内閣府令で定めるものを除く)。廃止の届出で認定は効力を失う(10条)
- 取消し
- 偽りその他不正の手段による認定、営業の休止などを理由とする認定の取消し(8条)
旅行業の登録旅行業法3条・6条の2・6条の3・14条・19条
- 誰が受けるか
- 旅行業・旅行業者代理業を営もうとする者が、観光庁長官の登録を受ける(3条)
- 有効期間
- 五年(6条の2)。引き続き営むには更新の登録を受ける(6条の3第1項)。満了日までに更新の申請があれば、その結果の通知があるまで従前の登録は効力を有する(同条3項)
- 名義
- 名義を他人に利用させること、営業の貸渡しなどで他人にその名において経営させることは禁止(14条)
- 廃止・譲渡
- 事業の廃止、全部の譲渡などは、その日から三十日以内に届出(15条1項)
- 取消し・停止
- 六月以内の業務の停止または登録の取消し(19条)
旅行サービス手配業の登録旅行業法2条6項・23条〜28条・37条
- 何をする事業か
- 旅行業を営む者のため、旅行者に対する運送や宿泊などのサービスの提供について、サービスを提供する者との間で代理・媒介・取次ぎをする事業(2条6項。国土交通省令で定めるものを除く)
- 誰が受けるか
- 営もうとする者が、観光庁長官の登録を受ける(23条)
- 単位・名義・再委託
- 営業所ごとに旅行サービス手配業務取扱管理者を選任する(28条1項)。名義利用等の禁止(32条)と、手配業務の委託先を限定する定め(33条1項)がある。旅行業者は、手配業の登録を受けなくても同じ行為を行える(34条1項)
- 変更・有効期間
- 登録事項の変更は三十日以内に届出(27条1項)。有効期間を定める規定は23条〜28条には見当たらず、更新の要否は条文と観光庁の資料で確認が必要
- 取消し・停止
- 六月以内の業務の停止または登録の取消し(37条)
表は条文の骨格を並べたものです。具体の有効期間、変更届の期限、除外される場合は、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
食品の分野には、もう一つ押さえておきたい区別があります。食品の営業には、都道府県知事の許可が要るもの(食品衛生法54条・55条)のほかに、許可は要らないが営業の届出が要るものがあります(57条1項)。届出営業でも、営業の譲渡や相続などによる地位の承継の仕組みは、許可営業と同じ形で用意されています(57条2項で56条を準用)。契約の相手がどちらの営業なのかによって、確認する書類も、失効や取消しの扱いも変わります。許可営業には、施設の基準違反を理由とする許可の取消しや停止の定めがあります(61条)が、これは54条の基準に結び付いた定めです。届出営業の場合に何が起こりうるかは、条文で別に確かめる必要があり、「許可」という言葉だけで一括りにしない注意が要ります。
あわせて、食品営業者は、厚生労働省令で定める基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定めて遵守する義務を負います(食品衛生法51条2項)。施設の運営や製造を他人に任せる契約では、この措置を誰が定め、誰が実施し、記録を誰が持つのかが、許可の名義と並ぶ論点になります。これは食品の製造委託と施設の運営受託で扱います。
表から読み取れるのは、同じ「許可を持っている」でも、意味する内容がまるで違うということです。警備と旅行業は五年の有効期間があり、更新を受けないと続けられません。古物の許可には期限がなく、そのかわり取消し・停止・廃止で終わります。食品の許可は施設に結び付き、有効期間は許可に付された条件によります。旅行サービス手配業は、営業所ごとの管理者の選任が特徴で、登録の更新に関する条文は見当たりません。
この違いを無視して、どの分野にも通用する「許認可の条」を一つだけ作ると、その条は結局どの分野の実態にも合わないものになります。契約書の側でできる対応は、条の骨格は共通にしつつ、別紙で分野ごとの事項(種類・交付庁・番号・有効期間・対象の範囲)を特定することです。
呼び名の違いが契約書のどこに効くか
次の表は、契約書の別紙に何を書いて特定するか、契約期間との間にどんなずれが生じうるか、許可が失われたときに何が止まるかを、分野ごとに並べたものです。
分野ごとの特定事項・時間のずれ・失効の影響
| 分野 | 別紙で特定する事項 | 契約期間とのずれ | 失効・停止の影響 |
|---|---|---|---|
| 食品営業 | 営業の種類、施設の所在地、許可番号、付された有効期間 | 有効期間が付されているとき、その満了日が契約期間の途中で来る | 施設の基準違反による停止があると、その施設での製造や提供が止まる(61条) |
| 古物商 | 許可をした公安委員会、許可証の番号、古物商の氏名または名称、営業所 | 有効期間の定めがないため、更新期のずれは生じない。かわりに取消し・停止・廃止で終わる | 取消しで許可は失われ、停止は六月を超えない範囲で営業が止まる(24条1項) |
| 警備業 | 認定をした公安委員会、取り扱う警備業務の区分、有効期間、営業所 | 五年ごとに更新期が来る。長く続く契約ほど、途中で更新期に当たる | 満了で認定は効力を失い(7条5項)、取消しもありうる(8条) |
| 旅行業 | 登録番号、登録年月日、有効期間 | 五年ごとの更新。満了日までの更新申請があれば、通知まで従前の登録は有効(6条の3第3項) | 業務の停止または登録の取消し(19条) |
| 旅行サービス手配業 | 登録番号、営業所、旅行サービス手配業務取扱管理者の選任 | 有効期間の定めの有無を、条文と観光庁の資料で確認する | 業務の停止または登録の取消し(37条) |
表の「別紙で特定する事項」は、契約書の本文に直接書かず、別紙にまとめる形をおすすめします。更新や変更で内容が変わったとき、本文を改訂せずに別紙の差し替えで足りるからです。差し替えの手順(誰が新しい写しを出し、いつまでに、どう確認するか)は、本文の条に置きます。
もう一つ、用語の整理があります。契約書の中では、分野ごとの呼び名(許可、認定、登録)を並べるのは煩雑なので、「許可等」のようにまとめた定義語を置くのが一般的です。このとき定義語は、使い始める最初の条でその場で定義します。本文のあちこちで「許可等」を使いながら、定義が後ろの別紙にしか書かれていない、という書き方は避けます。
契約期間と許可の時間割がずれるとき
契約書の期間は、当事者の合意で自由に決められます。一方、許可・認定・登録の時間割は、法律と行政庁が決めています。警備業の認定は五年(警備業法5条4項)、旅行業の登録も五年(旅行業法6条の2)です。契約が二年ごとの自動更新で続くなら、遅かれ早かれ、いずれかの更新で相手の更新期に当たります。
ずれが厄介なのは、誰も悪くないのに生じることです。更新期の前後は、相手の事業者にとっても繁忙になりがちです。更新の手続が遅れて満了日を過ぎると、警備業の認定は、満了で効力を失います(警備業法7条5項)。その状態で警備業務を続ければ、認定を受けずに警備業を営む状態になってしまいます。旅行業の登録は、満了日までに更新の申請をしていれば、結果の通知があるまで従前の登録が効力を持ちます(旅行業法6条の3第3項)。逆に言えば、申請が満了日に間に合っていなければ、この扱いは受けられません。
古物の許可には期限がありません。ずれは生じませんが、そのかわり、取消し、営業の停止、営業の廃止による許可証の返納といった、不意に来る終わり方があります。食品の許可は、付された条件によって有効期間があり得ます。いずれの分野でも、契約書でできるのは、更新の確認と失効の通知を、期限を切った義務として置くことです。
許可を軸にした契約の管理の流れ
- 締結前:許可の内容を確かめる許可証や認定・登録を示す書面の写しで、種類、交付庁、番号、有効期間、対象の営業所や施設、区分を確認し、確認した事実を記録する。
- 締結:別紙に特定し、本文に条を置く許可等を別紙に特定し、保有の表明、維持、通知、解除の条を本文に置く。契約の業務を行う営業所や施設も別紙に書く。
- 期間中:更新期と変更の通知を管理する有効期間の満了が契約期間内に来るときは、満了前に更新を受けた事実が分かる書面を出してもらう。営業所の移転や区分の変更があれば、その都度通知を受ける。
- 異常時:失効・停止・取消しを通知する失効、停止、取消しの事実、または処分の手続が始まったことを知ったときは、遅滞なく相手に伝える。相手は、業務の停止や代替の手配に動く。
- 出口:解除と精算、引継ぎ催告を待たずに解除できるか、済んだ分をどう精算するか、預かり品や前払金をどうするかを決める。詳しくは許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口で扱います。
書き方の例(一般的な例)契約期間と許可の関係の書き方
許可の特定
理由「必要な許認可」では、どれを指すのか、どの営業所の分かが決まらない。別紙で特定すると、更新や変更のとき別紙の差し替えで足りる。
更新の確認
理由更新の確認を相手任せにすると、満了後に気づくことになる。期限を切った提出義務にしておくと、確認の時期が契約の上で決まる。
失効のときの扱い
理由「協議する」だけでは、その間も業務が続く。通知義務と、催告なしに解除できる旨を分けて書くと、止めるべきときに止められる。
契約書に入れる「許認可の条」の型
分野を問わず使える条の骨格を、条文の形で示します。実際に使うときは、分野の実態に合わせて項を加減します。受ける側(許可を持つ側)と頼む側とで、書きぶりを変えるところには注記を付けます。
第○条許可等の保有と維持
- 本契約において「許可等」とは、別紙に記載する許可、登録及び認定をいい、その種類、交付した官庁、番号、有効期間及び対象の営業所又は施設を別紙に特定する。
- 乙は、本契約の締結日において、許可等を有していること、及び許可等について、取消し、停止その他の処分を受けておらず、その手続も開始されていないことを表明し、保証する。
- 乙は、契約期間中、許可等を維持し、許可等に係る変更の届出その他必要な手続を怠らない。
- 許可等の有効期間の満了が契約期間内に到来する場合、乙は、満了の○日前までに、更新を受けたことを示す書面の写しを甲に提出する。
- 乙は、許可等の失効、停止、取消し、又はそれらの処分の手続が始まったことを知ったときは、遅滞なく甲に通知する。
- 甲は、前項の通知を受けたとき又は同項に定める事実を知ったときは、催告を要せず、本契約の全部又は一部を解除することができる。
第2項の「保証する」を「確認した」に置き換えるかどうかは、頼む側と受ける側とで考え方が分かれます。保証は結果を約束させる書き方で、確認は事実を確かめたことを記録する書き方です。違いは許可の保有を相手に約束させる契約条項で詳しく扱います。
この型で大切なのは第1項です。定義を置いて別紙に特定しておけば、第2項以下は、どの分野にも共通して書けます。逆に第1項を省略して、第2項から「乙は必要な許可を有する」とだけ書くと、型の他の項もすべて曖昧になります。
受ける側(許可を持つ側)の目線では、第3項の「維持する」を結果の約束にしてしまうと、行政庁の判断で許可が取り消された場合に、それだけで契約違反とされるおそれがあります。維持するための手続を怠らない、という手続の約束にとどめ、取消し等があったときは通知と解除・精算で処理する、という書き分けも考えられます。頼む側(任せる側)の目線では、結果を約束させつつ、通知と解除の仕組みで万一に備える構成が一般的です。
許可に触れる場所は、この条だけではありません。契約書の中で、許可と結び付けて点検したい箇所を挙げます。
- 目的・業務の範囲の条:委託する業務が、許可の対象の範囲に収まるように書く。許可の範囲を超える業務まで「付随する一切の業務」として含めてしまわない。
- 定義の条:「許可等」「警備員」「古物」など、法律の言葉を使う定義語は、条文の定義に合わせる。独自に言い換えると、引用の条番号とずれる。
- 再委託の条:再委託の先も、許可等を要する立場かを確かめ、承諾の条件に許可等の保有を入れる。再委託先の限定が条文にある分野(旅行業法33条1項など)は、それに合わせる。
- 表示・広告の条:許可番号や登録番号をサイトや規約に載せるときの書き方は、事実と食い違わないようにする。許可番号・登録番号・標識の表示と規約・特商法表記の整合で扱う。
- 期間・更新の条:自動更新の通知期限と、相手の許可の更新期とを照らし合わせる。
- 解除・終了の条:許可の失効・停止・取消しを、催告なしの解除事由と、精算の起点に入れる。
- 終了後の条:預かり物の返還、記録の保存、顧客への通知など、許可を失った後も残る義務を書く。
許認可の条を置くときの点検
- 許可等を、種類・交付庁・番号・有効期間・対象の範囲で別紙に特定している。
- 定義語「許可等」を、最初に使う条でその場で定義している。
- 契約の業務を行う営業所や施設が、許可の対象に入っていることを確かめている。
- 有効期間の満了が契約期間内に来る場合の、更新の確認の期限と提出物を決めている。
- 失効、停止、取消しの通知の期限と、解除・精算の扱いを決めている。
- 確認した書類と日付を、記録として残すことにしている。
許可の「単位」を取り違えると何が起きるか
許可の単位を取り違えると、契約書の字面は整っていても、業務の一部が許可の外に出てしまうことがあります。契約を結ぶ前に確かめたい問いを、五つにまとめます。
確認の問い許可の単位と範囲を確かめる問い
契約の業務を行う営業所や施設は、許可の対象に入っているか。
理由食品は施設の基準を見て許可され(食品衛生法55条2項)、古物は営業所ごとに管理者を置き(古物営業法13条1項)、警備は営業所ごとに取り扱う区分を記載する(警備業法5条1項2号)。許可を持っていても、業務を行う場所が対象外ということがある。
その許可は、相手自身の名義で受けたものか。
理由許可を持つ者の名義を借りて、別の者が営業する構成は、古物営業法9条や旅行業法14条が禁じるところに近づく。名義貸し・又貸しにならない委託の組み方で扱う。
取り扱う区分や営業の種類は、契約の業務を含んでいるか。
理由警備は、業務の区分(雑踏・交通誘導は2条1項2号)ごとに考える。古物は取り扱う古物の区分がある。区分が違えば、同じ事業者でも業務の一部が対象外になりうる。
業務を行う場所や地域は、許可の及ぶ範囲か。
理由警備は、他の都道府県で警備業務を行うときに届出が要る(9条)。古物は、営業所や取引の相手方の住所・居所以外の場所で古物を受け取ることが制限される(14条1項)。出張で行う業務ほど、この点が効く。
有効期間と更新、変更届の時期は、契約期間のどこに当たるか。
理由更新期が契約期間の途中に来るなら、その確認を条文にしておく。変更届が要る事項(営業所の移転など)が起こりうるなら、通知の義務も併せて置く。
古物の出張買取を例にすると、営業所以外の場所での受取りの制限が、契約の設計に直結します。詳しくは古物の出張買取を委託するときで扱います。また、警備を頼むときの契約の骨組みは警備業務委託契約書の作り方に、食品の製造委託や施設の運営受託における許可の名義は食品の製造委託と施設の運営受託に、旅行の手配に関する登録の違いは旅行の手配を請ける・頼む契約書にまとめています。
起きがちなこと
最後に、許可と契約の間で起きがちなことと、契約書の側でしておく手当てを場面別に挙げます。
場面別:起きがちなことと手当て
許可の更新期が、契約の途中に来た
起きがちなこと自動更新で続いてきた契約の途中で、相手の更新期が来たが、契約書には更新の確認の定めがなく、誰も確かめなかった。満了後も業務が続き、後になって失効に気づいた。
手当て有効期間の満了が契約期間内に来るときの、更新を受けたことを示す書面の提出を、期限付きの義務にする。
業務を行う営業所が、許可の対象ではなかった
起きがちなこと相手が許可を持つと聞いて任せたが、実際に業務を行ったのは、許可の対象に入っていない別の営業所や施設だった。
手当て業務を行う営業所や施設を別紙に特定し、それ以外の場所で行わせない旨を書く。
許可を持つと聞いただけで、書類を見なかった
起きがちなこと口頭の説明を信じて契約したが、後で確かめると、許可の種類が違っていた。
手当て契約前に許可証等の写しを受け取り、確認した日付と内容を記録しておく。許可の保有を相手に約束させる契約条項で扱う。
許可が取り消されても、契約が自動更新された
起きがちなこと相手の許可が取り消されたのに、契約はそのまま更新の時期を迎え、更新拒絶の期限を過ぎた。
手当て失効、停止、取消しの通知義務と、催告なしの解除、自動更新の例外を、あらかじめ書く。
よくあるご質問
許可・登録・認定の違いは、契約書でどのように扱えばよいですか。
法律ごとに、食品と古物は「許可」、警備は「認定」、旅行業と旅行サービス手配業は「登録」と呼びます。契約書では、呼び名を並べるよりも、「許可等」のような定義語を置き、別紙で種類、交付した官庁、番号、有効期間、対象の範囲を特定する書き方が一般的です。定義語は、使い始める最初の条でその場で定義します。
古物商の許可に、有効期間はありますか。
古物営業法の許可に関する条(3条〜8条)には、有効期間や更新の定めは置かれていません。そのかわり、取消し(6条)、違反があったときの取消しと六月を超えない範囲の営業の停止(24条1項)、営業の廃止による許可証の返納と許可の失効(8条)で終わることがあります。契約書では、有効期間ではなく、これらの事由を通知と解除の対象にします。
警備業の認定は、いつまで有効ですか。
認定の有効期間は五年です(警備業法5条4項)。引き続き警備業を営むには更新を受ける必要があり(7条1項)、有効期間が満了すると認定は効力を失います(7条5項)。契約期間が長くなるほど途中で更新期に当たりやすいので、更新を受けたことを示す書面の提出を、期限付きの義務にしておくと確認が確実になります。
旅行業の登録と、旅行サービス手配業の登録は、同じものですか。
別の登録です。旅行業・旅行業者代理業は観光庁長官の登録を受け(旅行業法3条)、有効期間は五年で更新の登録があります(6条の2、6条の3)。旅行サービス手配業は、旅行業を営む者のために、サービスを提供する者との間で代理・媒介・取次ぎをする事業で(2条6項)、これも観光庁長官の登録を受けます(23条)。契約の相手がどちらの登録を要する立場かは、手配の中身で変わります。
食品の営業許可の有効期間は、法律で決まっていますか。
食品衛生法は、都道府県知事が許可に「五年を下らない有効期間その他の必要な条件」を付けることができると定めています(55条3項)。有効期間の有無や長さは、個々の許可の内容で確認します。営業の譲渡、相続、合併、分割があったときは、許可営業者の地位が承継されます(56条)。
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