古物の卸の契約書:品揃えの枠、現状渡し、返品の同一性、盗品の疑い

古物の卸は、一つひとつの品の状態が違い、出どころに疑いが生じるおそれもあります。通常の売買契約書の型に当てはめるだけでは、返品や盗品の場面で争いになりやすいため、四つの点を先に条項で決めます。

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「現状渡しにつき返品は一切不可」と書いても、売り手が知りながら告げなかった事実については、責任を免れません(民法第572条)。

このページの要点

  • 品揃えを売り手に任せる取引では、裁量の広さだけでなく、種別・状態の等級・数量の幅・価格帯の枠を別紙に書く。枠が契約不適合の基準になる。
  • 現状渡しは、表示と検査・通知の期限を組み合わせて書く。商人間の売買では商法第526条の検査・通知の規律も関わるため、期限を具体の日数で決める。
  • 出荷時の写真・動画・管理番号を、返品期間以上は保存する。返品は出荷時の記録と照合し、同一性が確認できたときに応じる。
  • 盗品の疑いが出たときの通知、動かさないこと、申告の主体、保管命令(古物営業法第21条)を受けたときの費用と返金の扱いを決める。

結論:古物の卸は、品揃えの決め方、状態の基準、記録、疑いが出たときの手順を先に決める

中古品を事業者に卸す契約は、新品の卸と違い、一つひとつの品の状態が異なり、しかも出どころに疑いが生じるおそれがあります。そのため、通常の売買契約書の型に当てはめるだけでは、後から次のような争いが出ます。送られてきた品が思っていた内容と違う、状態が悪い、返品したら別の品が戻ってきた、警察から保管を命じられた。これらはいずれも、契約を結ぶ前に条項で決めておくことで、争いを小さくできる事柄です。

古物の卸の契約で決めておくべきことは、四つにまとめられます。第一は、売り手が品揃えを選んで送るのであれば、その裁量の範囲と、買い手の同意の中身です。第二は、状態を表す基準と、現状渡しとの関係(民法の契約不適合)です。第三は、出荷時の記録と、返品が来たときに同じ品かどうかを確かめる方法です。第四は、盗品の疑いが出たときの連絡、保管、費用の分担です。これらを順に整理します。

前提として、古物を売買し、交換し、または委託を受けて売買する営業は古物営業にあたり、公安委員会の許可を要します(古物営業法第2条第2項第1号、第3条)。卸の売り手は、この許可を受けた古物商であることが前提です。買い手が古物商か、一般の事業者かで、後で触れる盗品の扱いなどが変わります。このページが扱うのは、事業者どうしの卸の契約で、一般の消費者に売る場合の規律は扱いません。買い取って仕入れる側の契約は古物の出張買取を委託するときで、許可の保有を相手に約束させる条項は許可の保有を相手に約束させる契約条項で整理しています。

売り手が品揃えを選ぶ取引:裁量の範囲と買い手の同意を条文にする

買い手が個々の品を指定せず、売り手が価格帯や種別に合わせて品揃えを選んで送る取引があります。品を事前に一つずつ確認しない代わりに、買い手は仕入れの手間を省け、売り手は在庫の状況に合わせて構成できます。ただ、この形式は、「期待していた内容と違う」という不満が出やすい取引でもあります。不満の多くは、売り手が何を約束し、何を約束していないのかが、契約で決まっていないことから生じます。

民法第562条は、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないときは、買主は履行の追完(修補や代替物の引渡し、不足分の引渡し)を請求できるとします。ここで基準になるのは、「契約の内容」です。品揃えを売り手に任せる取引では、何を送れば契約の内容に適合するのかが、契約書の書き方で決まります。売り手の裁量が広いと書いてあっても、品質の下限や数量の幅が書かれていなければ、「期待外れ」と「契約不適合」の線が引けません。

したがって条項は、売り手の裁量の広さを示すだけでなく、裁量の枠を書きます。種別(どのカテゴリの古物か)、状態の等級(傷の程度、動作の確認の有無、付属品の有無など)、数量の幅、価格帯、含まない品(破損品、特定の種別)といった枠です。枠の内側であれば、売り手が選んだ内容に買い手は異議を述べない、枠から外れたときは、追完や代金の調整で対応する、と書きます。

書き方の例(一般的な例)品揃えの裁量の書き方

裁量の書き方

よくある書き方甲は、乙が選択した金額に応じ、甲の裁量により商品の内容を構成する。乙は、内容について異議を述べない。
整えた書き方甲は、別紙に定める種別、状態の等級、数量の幅及び価格帯の範囲内で、商品の内容を構成する。乙は、この範囲内で構成された商品について、個別の確認や指定を求めず、内容を理由とする異議を述べない。範囲を外れた商品が含まれていたときは、第○条により追完又は代金の調整を求めることができる。

理由「異議を述べない」とだけ書くと、基準なしに何を送ってもよいように読め、かえって契約不適合の主張を呼びます。範囲を別紙で特定し、範囲外の場合の対応を残すと、売り手の裁量と買い手の保護が両立します。

状態の表示

よくある書き方商品は、中古品であり、傷や汚れがある場合がある。
整えた書き方商品の状態は、別紙の等級の定義に従って表示する。等級の定義は、外観(傷、汚れ)、機能(動作の確認の有無)、付属品の有無とする。表示のない事項について、甲は動作や真正性を保証しない。

理由「傷や汚れがある場合がある」は、どの程度までを許容するのかが分かりません。等級の定義があれば、等級に適合しているかどうかで、不適合かどうかが判断できます。

第○条商品の構成(一般的な例)

  1. 甲は、乙の注文に基づき、別紙に定める種別、状態の等級、数量の幅及び価格帯の範囲内で、商品を選んで乙に引き渡す(以下、引き渡す商品を「本商品」という。)。
  2. 乙は、本商品の個別の内容について、事前に確認し、又は指定することを求めない。ただし、別紙に定める範囲外の商品が含まれていたときは、乙は、第○条に従って、追完又は代金の調整を求めることができる。
  3. 甲は、本商品の出荷に際し、種別ごとの数量、状態の等級及び管理番号その他の識別に必要な事項を記録し、乙の請求があったときは、その記録の写しを交付する。

「本商品」のような定義語は、最初に使うこの条のなかでその場で定義しておくと、後の条文を読み間違えにくくなります。

現状渡しと契約不適合:民法と商法の枠組み、特約の限界

中古品の卸では、「現状渡し」と書かれることが多くあります。この言葉は、法律用語ではありません。契約で、引き渡し時の状態のまま引き渡す、という意味で使われますが、売り手が一切責任を負わないという意味に当然になるわけではありません。まず、民法と商法の枠組みを押さえておきます。

事業者間の売買における、不適合に関する条文の枠組み

条文内容契約書で決める点
民法562条・563条契約の内容に適合しないとき、買主は追完を請求でき、相当の期間を定めた催告で追完がなければ代金の減額を請求できる追完の方法(代替品、返品と返金)、減額の算定、追完の期限
民法564条・566条損害賠償や解除は妨げられない。種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に通知しないと請求できなくなる通知の期間を短縮するか、通知の方法(書面、画像の添付)を決めるか
民法572条責任を負わない特約があっても、知りながら告げなかった事実などは責任を免れない売り手が知っている状態は、表示で告げる。告げずに現状渡しとするのは危うい
商法526条商人間の売買では、買主は受領したら遅滞なく検査し、不適合を発見したら直ちに通知しないと、追完請求などができない。直ちに発見できない不適合を6か月以内に発見したときも同様検査の期間と通知の期限を、契約で具体の日数で決めるか(商法の規定との関係を整理するか)

表の民法第572条は、とくに現状渡しの条項と深く関わります。売り手が責任を負わない旨の特約をしたときでも、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができません。これは、「現状渡しだから何があっても責任を負わない」と書けば足りる、という考えが成り立たないことを意味します。売り手が把握している状態は、表示(写真、等級、備考)で買い手に伝えるのが、条項を守る実際的な方法です。

商法第526条は、商人間の売買に特有の規律です。買主は、目的物を受領したら遅滞なく検査し、不適合を発見したときは直ちに売主に通知しなければなりません。通知を怠ると、追完の請求、代金の減額、損害賠償、解除のいずれもできなくなります。直ちに発見できない不適合を、受領後6か月以内に発見したときも、同様に直ちに通知する必要があります(同条第2項)。売主が悪意(不適合を知っていた)のときは適用されません(同条第3項)。売り手から見れば、検査と通知の期限を契約で具体の日数にしておけば、いつまで不適合の主張を受けるのかが明確になります。契約で期限を具体的に定める例は、事業者間の取引では一般に見られます。

書き方の例(一般的な例)現状渡しの書き方

現状渡しと返品

よくある書き方商品は現状渡しとし、返品及び返金には一切応じない。
整えた書き方商品は、別紙に定める状態の等級の表示に従った状態で引き渡す。乙は、受領後、所定の日数内に検査し、表示に適合しない点を発見したときは、その旨を写真とともに通知する。通知を受けた甲は、追完又は代金の調整により対応する。所定の期間内に通知がなかったときは、乙は、不適合を理由とする請求ができない。ただし、甲が知りながら告げなかった事実は、この限りでない。

理由「一切応じない」は、知りながら告げなかった事実については効力が認められません(民法第572条)。表示と通知の期限を組み合わせた書き方にすると、売り手の責任の範囲が明確で、買い手も検査の機会を得られます。

真正性など

よくある書き方商品は、すべて真正である。
整えた書き方甲は、商品の種別及び表示に基づき、真正性を確認するための合理的な措置をとり、真正性に疑いのある商品を出荷しない。真正性に疑いがあることが出荷後に判明したときは、乙は直ちに甲に通知し、甲は、第○条に従い、商品の回収及び代金の返還に応じる。

理由「すべて真正」と断言すると、確認の限界を超えた保証になります。確認の措置と、疑いが判明したときの手順を書くほうが、実際に守れる約束になります。

出荷時の記録と、返品時の同一性の確認

返品をめぐる争いで最も多いのが、「戻ってきた品は、送った品と同じか」という点です。中古品は、新品と違い、同じ型でも個体ごとに状態が違うため、返品された品が出荷時の品かどうかを、記録なしに確かめることは困難です。これを防ぐ手段が、出荷時の記録です。商品の写真や動画、管理番号(シリアルや自社番号)、付属品の一覧、梱包の状態などを、出荷のときに残しておきます。

返品の条項では、次の順序で書くと整理しやすくなります。返品の申出ができる事由(表示と異なる、機能の不具合など)と期間、返品の申出の方法(書面、画像の添付)、返品の受入れの条件(同一性が確認できること)、同一性が確認できないときの扱い、返送の費用の負担、返金の時期と方法です。同一性の確認の方法は、出荷時の記録と照合することです。照合できないときは、返品を拒否するのではなく、拒否できる旨と、拒否した場合の商品の返送や保管の扱いを書き、争いが長引かないようにします。

返品の受付から精算までの流れ(一般的な例)

  1. 出荷売り手は、商品の写真や動画、管理番号、付属品の一覧を記録し、返品期間と同じ期間以上、保存する。
  2. 受領と検査買い手は、受領したら所定の期間内に検査する。表示と異なる点は、画像を添えて通知する。
  3. 返品の申出買い手は、返品の事由を示して申し出る。売り手は、受付の可否を所定の期間内に回答する。
  4. 返送買い手は、受付の回答を待って返送する。返送の方法(追跡のできる方法)と費用の負担を決めておく。
  5. 同一性の確認売り手は、戻った商品を出荷時の記録と照合する。同一性が確認できれば返金や追完へ、確認できなければ、協議または返品の拒否へ進む。
  6. 精算返金は、所定の期間内に、買い手が指定する口座に行う。追完や代金の調整の場合は、その方法と時期に従う。

期間や費用の割合は、取引の実態で決めます。大切なのは、各段階の起点が記録で確かめられることです。

古物営業法の記録との関係にも、触れておきます。古物商は、古物を受け取り、または引き渡したときは、その都度、取引の年月日、品目と数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、確認の措置の区分を帳簿等に記載し、3年間保存します(第16条、第18条)。ただし、引き渡した場合の記載は、国家公安委員会規則が定める古物以外では、記載の必要がないものとされています。規則第18条は、記載が必要な古物を、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車(その部分品を含む。)と定めています。つまり、卸の売り手として古物を引き渡すときに帳簿への記載が必要かどうかは、品目の区分によって決まります。ここでいう「帳簿への記載」と、契約上の「出荷の記録」は別のものです。出荷の記録は、同一性の確認や不適合の主張に備えるための商取引上の記録であり、法定の帳簿の記載の有無にかかわらず、契約で取り決めるものです。

返品によって古物が戻ってきたときの帳簿の取扱いは、条文と所管の公安委員会の運用で確認が必要です。契約書では、返品によって戻った古物について、売り手が法令の定めに従って必要な記録を行うこと、買い手がそのために必要な情報(返品の事由、取引の相手方の確認に関する情報など)を提供することを、簡単に書いておくと、運用でぶれません。

盗品の疑いがあるとき:申告、保管、費用の分担

古物の取引では、出どころに疑いのある品が紛れ込むおそれがあります。古物営業法は、いくつかの場面で古物商に義務を課しています。古物を買い受けようとするときに、不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官に申告しなければなりません(第15条第3項)。警察本部長等が盗品等の品触れを書面で発したときは、受け取った書面に到達の日付を記載して6か月間保存し、その日にその古物を所持していたとき、またはその期間内に品触れに相当する古物を受け取ったときは、直ちに警察官に届け出なければなりません(第19条第2項・第3項)。盗品等であると疑うに足りる相当な理由があるときは、警察本部長等は、その古物の保管を、30日以内の期間を定めて命じることができます(第21条)。

さらに、被害者との関係で、売り手と買い手の双方に影響する規定があります。民法は、盗品または遺失物については、被害者または遺失者が、盗難または遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求できるとし(第193条)、競売、公の市場、同種の物を販売する商人から善意で買い受けた占有者には、代価を弁償しなければ回復できないとします(第194条)。これに対し、古物営業法第20条は、古物商が買い受けた古物に盗品または遺失物があった場合、公の市場や同種の物を扱う営業者から善意で譲り受けたときでも、被害者または遺失主は、その古物商に対し無償での回復を求めることができる、盗難または遺失の時から1年を経過したあとは、この限りでない、と定めています。

つまり、卸の買い手が古物商であれば、売り手から買った品が盗品だったとき、被害者から無償での回復を求められる立場になります。買い手が古物商でない事業者なら、民法の規定による取扱いになります。いずれの場合も、売り手と買い手の間で、費用や損失をどう分けるかを、契約で決めておかないと、争いが長引きます。

書き方の例(一般的な例)盗品の疑いがあるときの条項の書き方

疑いが生じたとき

よくある書き方商品が盗品等であった場合は、甲が一切の責任を負う。
整えた書き方甲又は乙は、本商品について盗品等の疑いがあることを知ったときは、直ちに相手方に通知する。乙は、通知を受けるまで、又は甲の指示があるまで、当該商品の販売、譲渡、加工、返送をしない。警察当局に申告する義務のある者は、法令に従って申告する。

理由「一切の責任」では、通知や保管の手順が決まらず、疑いが出た時点で商品が動いてしまいます。連絡、動かさないこと、申告の主体を条文で決めると、被害の拡大を防げます。

保管命令が出たとき

よくある書き方(定めなし)
整えた書き方乙が古物営業法第21条により当該商品の保管を命じられたときは、乙は直ちに甲に通知し、保管期間中、当該商品を販売し、又は返送しない。保管の費用は、盗品等であることが判明したときは甲が、判明しなかったときは乙が負担する。盗品等であることが判明したときは、甲は、乙に対し、代金を返還し、乙が被った合理的な損失を賠償する。

理由保管命令中は、商品を売ることも返すこともできません。その間の費用と、盗品だったと分かったときの返金・損失の扱いを、あらかじめ決めておくと、命令の後に混乱しません。

契約書には、買い手が再販した先から被害の申出があったときの協力も書いておきます。具体的には、再販先への連絡、商品の回収への協力、警察当局への情報提供、記録の提示です。これらを円滑に行うために、買い手は再販先の情報(古物商の場合は、その許可の情報)を一定期間保存しておく、と書いておくと、追跡ができます。

再販先への許可の要求と、取引の停止の権限

卸の買い手が、仕入れた古物をさらに他に売る(再販する)取引では、売り手の関心は、再販先がどのような相手かに及びます。売り手が古物商で、買い手が古物を仕入れて売ることを業とするなら、その買い手自身が古物営業を営む者として、許可を要する立場です(古物営業法第2条第2項第1号、第3条)。契約書で買い手の許可の有無を確認する条項は必要で、許可の種類、許可をした公安委員会、許可証の番号、営業所を特定し、変更や処分があったときの通知を義務づけます。型は許可の保有を相手に約束させる契約条項と同じです。

再販先に古物商の許可を求めるかどうかは、取引の性質で決まります。再販先が個人の消費者であれば、許可は必要なく、求めても意味がありません。再販先が古物商であることを条件にするなら、その旨と、再販先が許可を失ったときの対応を書きます。再販先の許可の確認を買い手に義務づけるのか、売り手が再販先の情報の提示を求める権利を持つのかも、決めておきます。

継続的に取引する場合には、将来の注文を受けない自由を、売り手に残す条項も有効です。支払の遅れ、返品の度重なる申出、信用を損なう行為などの事由があるとき、売り手は新たな注文を受け付けないことができる、と書きます。この条項は、契約を解除する前の段階で、取引を調整するために使えます。ただし、事由を具体的に書かずに「売り手が判断する事由」とだけ書くと、恣意的に使われるおそれがあり、買い手に受け入れられにくくなります。基本契約と個別の注文の関係(個別の注文は基本契約に従う)も、明確に書いておきます。

確認の問い卸の契約を結ぶ前に、相手方と自社に確かめる問い

  1. 買い手は、古物商の許可を持っているか。持たない場合、仕入れた古物をどう扱うのか。

    理由買い手が古物を仕入れて売る営業をするなら、許可を要する立場になります。確認の結果で、契約書に置く条項が変わります。

  2. 売り手として、出荷する古物の種別ごとに、帳簿への記載が必要かどうかを把握しているか。

    理由規則第18条が定める品目で、引き渡しの記載の要否が分かれます。品目の区分を把握しないと、記録の取り方がぶれます。

  3. 品揃えの枠(種別、状態の等級、数量の幅、価格帯)は、別紙に書いたか。

    理由枠がないと、期待外れと契約不適合の区別がつかず、返品の争いになります。

  4. 出荷時の記録(写真、動画、管理番号)は、返品期間以上の期間、保存するか。

    理由同一性の確認は、出荷時の記録との照合で行います。記録の保存期間が返品期間より短いと、確認できません。

  5. 盗品の疑いが出たときの連絡先、保管の手順、費用の分担は決まっているか。

    理由保管命令などで商品が動かせなくなる場面があり、手順がないと、対応が遅れます。

起きがちなこと

古物の卸の契約で起きがちなことを、場面別にまとめます。

場面別:起きがちなことと手当て

送られてきた内容が思っていたものと違うと言われた

起きがちなこと売り手の裁量で構成すると書いてあったが、枠がなく、買い手は価格に見合わない内容だと主張した。契約不適合かどうかの線が引けなかった。

手当て種別、状態の等級、数量の幅、価格帯を別紙に書く。範囲外のときの追完や代金の調整を残す。

現状渡しだからと返品を断ったら、売り手が知っていた傷だった

起きがちなこと売り手は傷を把握していたが、表示になく、現状渡しで返品を断った。知りながら告げなかった事実として、責任を免れなかった。

手当て把握している状態は、等級や備考で表示する。現状渡しの特約は、民法第572条の限界を踏まえて書く。

戻ってきた品が、送った品と違う気がした

起きがちなこと出荷時の記録がなく、戻った品が同じ品かどうかを確かめられなかった。返金したものの、後に差異が判明した。

手当て出荷時の写真や動画、管理番号を残し、返品期間以上は保存する。同一性が確認できないときの扱いを書く。

警察から保管を命じられ、売ることも返すこともできなくなった

起きがちなこと買い手が保管命令を受け、売り手に連絡したが、費用や代金の扱いが決まっておらず、売り手と買い手が互いに相手の負担だと主張した。

手当て保管命令を受けたときの通知、販売や返送の停止、費用の分担、盗品と判明したときの代金の返還と損失の賠償を書く。

買い手が許可を持たずに再販していた

起きがちなこと買い手が許可の有無を伝えずに取引を始め、古物を仕入れて売る営業を続けていた。売り手は、後から取引の継続の可否に迷った。

手当て買い手の許可の保有を表明させ、変更・処分があったときの通知と解除を結び付ける。

許可を失ったときの契約の出口は許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口で、許可番号を自社のサイトに表示する書き方は許可番号・登録番号・標識の表示と規約・特商法表記の整合で扱います。

契約書の点検リスト(古物の卸)

  • 売り手の許可の保有と、買い手の許可の有無(必要な場合)を、種類・公安委員会・番号で特定しているか。
  • 品揃えの枠(種別、状態の等級、数量の幅、価格帯)を別紙に書いているか。
  • 状態の等級の定義を書いているか。現状渡しの特約が、民法第572条の限界(知りながら告げなかった事実)を踏まえているか。
  • 検査と通知の期限を、具体の日数と方法で書いているか(商法第526条との関係を整理したか)。
  • 出荷時の記録(写真、動画、管理番号)を残し、返品期間以上は保存するとしているか。
  • 返品の事由、期間、同一性の確認、返送の費用、返金の時期を書いているか。
  • 盗品の疑いが出たときの通知、動かさないこと、申告の主体、保管命令を受けたときの費用の分担を書いているか。
  • 継続的な取引の停止の事由と、基本契約と個別の注文の関係を書いているか。

よくあるご質問

中古品の卸で「現状渡し」と書けば、売り手は責任を負わなくてよいですか。

いいえ。民法第572条は、責任を負わない旨の特約をしても、知りながら告げなかった事実については責任を免れないとしています。現状渡しと書く場合も、把握している状態は表示で伝え、検査と通知の期限、不適合があったときの対応(追完、代金の調整など)を具体的に書いておくほうが、争いを防げます。

事業者間の売買で、買い手はいつまでに不適合を通知する必要がありますか。

民法第566条は、種類・品質の不適合を知った時から1年以内に通知しないときは、請求できなくなるとします。商人間の売買では、さらに商法第526条が、受領後に遅滞なく検査し、不適合を発見したら直ちに通知することを求めており、直ちに発見できない不適合を受領後6か月以内に発見したときも同様です。契約で具体の日数と方法を決めておくと、これらの規定との関係が整理できます。

返品で戻ってきた品が、送った品と違うときはどうすればよいですか。

出荷時の写真や動画、管理番号などの記録と照合します。契約書に、同一性が確認できる場合に限り返品に応じること、確認できないときの扱い(協議、返品の拒否、返送や保管の方法)を書いておくと、判断の基準になります。記録は、返品の期間以上は保存します。

買い受けた古物が盗品だと分かったとき、買い手はどうなりますか。

買い手が古物商なら、古物営業法第20条により、被害者または遺失主から、盗難または遺失の時から1年以内は、無償での回復を求められることがあります。買い手が古物商でなければ、民法第193条・第194条の規定によります。いずれの場合も、売り手と買い手の間の返金や損失の分担は契約で決めるため、通知、保管、費用、返金の条項を置いておくことが大切です。

警察から保管を命じられたら、何ができなくなりますか。

古物営業法第21条により、盗品等であると疑うに足りる相当な理由があるとき、警察本部長等は、古物商に対し、30日以内の期間を定めて、その古物の保管を命じることができます。命令の期間中は、その古物を販売したり返送したりすることはできません。契約書には、命令を受けたときの通知、保管中の費用の分担、盗品と判明したときの返金・損失の扱いを書いておきます。

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