このページの要点
- 古物商は標識の掲示と、氏名・公安委員会名・許可証番号のウェブ表示(古物営業法12条)。警備業は標識の掲示とウェブ表示(警備業法6条)。表示の方法は規則・内閣府令で確認する。
- 旅行業は標識(旅行業法12条の9)、企画旅行の広告(12条の7)、誇大広告の禁止(12条の8)。登録票の記載どおりに写す。
- 登録の表示は、どの取引に関するものかを特定し、「当事者ではない」取引と区別する。決済代行、返金の主体・方法・時期は、実際にしていることだけを書く。
- 特商法表記(11条・12条)と規約で、販売主体、価格の決定者、支払、キャンセル・返金を同じ内容にそろえ、更新・失効のときの修正の担当と期限を決める。
結論:許可・登録の表示は三つに分けて考え、規約・特商法表記・標識で同じ主体、同じ事実にそろえる
サイトや規約、特定商取引法に基づく表記、営業所の掲示に、許可番号や登録番号を載せる場面は多くあります。ここで、表示を一まとめに考えず、三つに分けて見ると整理がつきます。一つめは、法令が掲示や表示を求めているもの(標識の掲示、ウェブサイトでの氏名等の表示、広告の表示事項)。二つめは、法令の求めとは別に事業者が信用を示すために載せる任意の表示。三つめは、サービスの仕組みの中で自社がどの立場かを説明する立場の表示(販売の当事者か、場を提供するだけか、など)です。
一つめは「載せなければならない」問題、二つめは「載せるなら事実でなければならない」問題、三つめは「載せたものが、ほかの表示と矛盾しないか」の問題です。表示に関する失敗は、多くの場合、三つめで起きます。許可番号を載せたことで、利用者から見ると、その事業者が売主や旅行の主催者であるかのように読める。ところが規約には「当社は当事者ではない」と書いてある。こうした矛盾が、苦情や行政対応の入り口になりえます。
このページは、古物商、旅行業、警備業を中心に、条文が定める標識とウェブ表示を確認したうえで、規約と特商法表記の整合のとり方を整理します。許可を受けるための手続は対象外です。許可の種類の全体は許可・登録・認定の違いと契約書、許可を取り消されたときの表示や契約の扱いは許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口のページで扱っています。
古物商:営業所の標識と、ウェブサイトでの氏名・公安委員会・許可証番号の表示
古物営業法は、古物商と古物市場主に、営業所もしくは仮設店舗、または古物市場ごとに、公衆の見やすい場所へ、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示することを求めています(12条1項)。さらに、事業の規模が著しく小さい場合その他国家公安委員会規則で定める場合を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を、インターネットなどの自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければなりません(同条2項)。特定古物商は、これらの氏名等と合わせて、その取り扱う古物に関する事項も閲覧に供します(同条3項)。
契約書や規約の側からは、次の点が大切です。第一に、ウェブ表示の三項目は、許可を受けた名義と同じでなければなりません。運営会社と許可を受けた会社が異なるときに、運営会社の名前の横に別会社の許可番号を並べると、誰の許可で営業しているのかが読み手に伝わりません。名義の違う他人の許可に乗って営業するような形は、古物営業法9条の名義貸しの禁止にもかかわります(名義貸し・又貸しにならない委託の組み方)。第二に、表示の具体的な場所や方法は、国家公安委員会規則に委ねられているため、条文だけでは決まりません。規則と警察庁の資料で確認してから、規約やサイトの設計に反映します。
出張買取などで買取を第三者に委託している場合は、表示と実態を合わせることが特に重要です。許可を受けた事業者が自らの名義で買取を行っているのか、委託先が別の許可の下で行っているのかで、サイトに載せる氏名・許可番号が変わります。委託の組み方は古物の出張買取を委託するときのページで扱っています。
旅行業:標識、広告の表示事項、誇大広告の禁止、取引条件の説明
旅行業法には、表示や広告に関する条文が複数あります。条文ごとに、対象になる場面が違います。
旅行業法の表示・広告に関する規定の整理
| 規定 | 内容 | 対象の場面 | 契約書・規約での注意 |
|---|---|---|---|
| 標識の掲示(12条の9) | 旅行業者等は、営業所で、国土交通省令で定める様式の標識を、公衆に見やすいように掲示する。旅行業者等以外の者は、標識やこれに類似する標識を掲示してはならない(同条2項) | 営業所の掲示 | 登録を持たない提携先や掲載先が、旅行業者であるかのような標識を使わない。提携先の表示ルールを契約で決める |
| 企画旅行の広告(12条の7) | 企画旅行に参加する旅行者を募集する広告には、企画旅行を実施する旅行業者の氏名・名称、目的地、日程、運送等サービスの内容、対価などを表示する | 募集型の旅行の広告 | 広告に載せる実施者の名称と、規約の事業者名が同じか確認する |
| 誇大広告の禁止(12条の8) | 旅行業務の広告で、サービスの内容などについて著しく事実に相違する表示、または実際より著しく優良・有利と誤認させる表示をしない | 旅行業務の広告全般 | 提携先の掲載文面の確認権限と、修正・削除の権限を契約に書く |
| 取引条件の説明・書面(12条の4・12条の5) | 旅行者と契約を締結しようとするとき、取引条件を説明し、契約を締結したとき書面を交付する | 旅行者との契約 | 説明や書面の交付を誰が行うのかを、役割分担として規約・業務委託契約に書く |
表の一行目の標識について、もう一つ注意があります。旅行業の登録は、条文の上では観光庁長官の行う登録とされています(3条)。登録票に記載された登録の種別、登録番号、有効期間などを、サイトや規約に写すときは、登録票の記載どおりに写すのが基本です。登録の種別ごとの違いや、登録票の記載の細目は、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
警備業・食品:確認できる範囲と、確認が必要な範囲
警備業法は、警備業者に、認定を受けたことを示す内閣府令で定める様式の標識を、主たる営業所の見やすい場所に掲示することを求めています。あわせて、事業の規模が著しく小さい場合その他内閣府令で定める場合を除き、内閣府令で定めるところにより、自動公衆送信によっても公衆の閲覧に供しなければなりません(6条1項)。警備業者以外の者は、この標識やこれに類似する標識を掲示したり、閲覧に供したりしてはなりません(同条2項)。また、警備業者は自己の名義をもって他人に警備業を営ませてはなりません(13条)。警備の委託契約書に認定の番号や有効期間を特定するときは(警備業務委託契約書の作り方)、サイトに掲示した標識と、契約書に書いた認定の事項が一致していることを確かめます。
食品については、事情が少し違います。食品衛生法は、食品、添加物、器具または容器包装に関して、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽または誇大な表示・広告をしてはならないと定めています(20条)。販売の用に供する食品と添加物の表示の基準は、食品表示法で定めるとされています(食品衛生法19条3項)。他方、営業の許可証や許可番号を、営業所やウェブサイトにどう掲示するかについては、条例などで定められている場合があります。ここは、条文と所管の資料で確認が必要な範囲です。食品の製造委託や施設の運営受託の契約書の側では、許可の名義と施設を別表に特定すること(食品の製造委託と施設の運営受託)が、表示の整合の土台になります。
「登録は持っているが、本サービスでは当事者ではない」という書き方の限界
旅行や中古品などの分野には、事業者が自ら売買や旅行の契約の当事者になる取引と、利用者と提供者を結びつける場を提供するだけの取引(いわゆるプラットフォーム型)が、同じサイトの中に並ぶことがあります。このとき、「当社は旅行業の登録を有していますが、本サービスでは契約の当事者にはなりません」という一文を足して整合させようとする書き方があります。この書き方で解消できる範囲と、解消できない範囲があります。
書き方の例(一般的な例)登録の表示と立場の表示を並べるときの書き方
登録の表示の位置づけ
理由登録を、どの取引に結びつくものかを書かないと、すべての取引に及ぶように読めます。登録に関わる取引の範囲を特定します。
実態との一致
理由決済代行、返金の主体と方法、時期が書かれていないと、利用者は当社が売主のように受け取ります。実際にしていることだけを書き、していないことは書かないのが基本です。
提供者側の表示
理由場の運営者だけが許可番号を載せ、実際の提供者の許可の表示が欠けると、利用者は誰の許可で提供されているのかを確かめられません。
書き方で解消できないものがあることも押さえておきます。サービスの実態として、価格の決定、利用者の募集、決済、キャンセルの受付、利用者への責任窓口を運営者が握っているなら、「当事者ではない」と書いても、実態のほうが優先して評価されることがあります。表示は実態を映すもので、実態を変えるものではありません。実態が旅行業や古物営業の領域に入っているなら、表示を整えるよりも先に、その事業に必要な許可・登録の枠組みで取引を設計するほうが、確かな道筋です。許可・登録の範囲に入るかどうかは、条文と所管官庁の資料で確認が必要で、個別の取引ごとに判断が分かれます。
規約と特商法表記の整合:論点ごとにそろえる
通信販売をする事業者が、商品・権利の販売条件や役務の提供条件について広告をするときは、主務省令の定めるところにより、広告に次の事項を表示します(特定商取引法11条)。販売価格または役務の対価、代金・対価の支払の時期と方法、商品の引渡時期・権利の移転時期・役務の提供時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、申込みの撤回または解除に関する事項、そして主務省令で定める事項です。広告は、著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良・有利であると人を誤認させる表示をしてはなりません(12条)。
許可番号や登録番号は、11条の本文に列挙された事項そのものではありません。省令で定める事項の細目は、施行規則の条文で確認が必要です。許可番号を表記に載せるのは、他の法令の表示義務に応じる場合や、任意に信用を示す場合などです。載せる以上は事実でなければならず、規約や標識と食い違わないことが前提になります。
規約と特商法表記でそろえる論点
| 論点 | 規約で書くこと | 特商法表記で書くこと | そろえるときの注意 |
|---|---|---|---|
| 販売主体・提供主体 | 誰が契約の当事者か。場の提供のときは、当社は当事者でない旨と範囲 | 販売業者・役務提供事業者として、誰を表示するか | 規約の当事者の説明と、表記の事業者名が矛盾しない。提供者が複数のときは、提供者の表示の方法も決める |
| 価格 | 誰が価格を設定するか | 販売価格・役務の対価 | 「提供者が設定した金額」と表示した場合、当社が価格を決めているように読ませない |
| 支払の方法・時期 | 決済の方法、決済代行の有無と立場 | 支払の時期と方法 | 決済代行なら、代行であることを両方に書く |
| キャンセル・返金 | 取消しの条件、返金の主体・方法・時期、キャンセル料の算定 | 申込みの撤回・解除に関する事項(11条5号) | 返金の主体、方法、時期の三点が両方に同じ内容で書かれている。ここが食い違うと最も揉める |
| 許可・登録の表示 | 許可・登録を有する旨と、その対象の取引の範囲 | 許可番号・登録番号(任意または他法の要請による) | 番号は、許可・登録の書面の記載どおり。変更・失効のときの更新手順を決めておく |
| サービスの性質 | 提供するサービスの範囲、免責の範囲 | 役務の内容(誇大な表示の禁止・12条) | 表記に「確実に」「必ず」といった断定を書いて、規約の免責と食い違わせない |
確認の問い表示を公開する前に、運営者が確かめる問い
載せようとしている番号は、誰の許可・登録の番号ですか。
理由運営会社と許可を受けた会社が別のとき、番号だけを載せると、誰の許可で営んでいるのかが読み取れません。名義人の名称と番号を一組で載せます。
その番号は、サイトの中のどの取引に結びつくものですか。
理由取引の種類が複数あるサービスでは、許可・登録が及ぶ取引と及ばない取引が混在します。結びつく取引を特定しないと、全部の取引に及ぶように読めます。
規約、特商法表記、営業所の標識の三つで、同じ事実を書いていますか。
理由三つのうち一つでも古いと、事実と異なる表示を続けていることになります。改訂は三つを同時に行います。
提携先や出品者が、自分の判断で許可・登録の表示を載せることを許していますか。
理由提携先の表示は、運営者の信用にも及びます。表示してよい内容と、確認・修正・削除の権限を、契約で決めておきます。
許可・登録の更新、変更、失効があったとき、誰がいつまでに表示を直しますか。
理由更新後の有効期間や、失効後の撤去は、担当者と期限を決めておかないと、後回しになります。
第○条許可・登録の表示と立場
- 当社は、本サービスのうち、別表に記載した取引について、同表記載の許可(登録)を有しています。許可(登録)の番号、種別および有効期間は、同表のとおりです。
- 前項に記載した以外の取引において、当社は、利用者と提供者の間の契約の当事者にはなりません。この場合、料金の設定、サービスの提供、取消しの受付およびその判断は、提供者が行います。
- 当社は、許可(登録)の番号、種別、有効期間に変更が生じたとき、または許可(登録)が取り消されもしくは停止されたときは、遅滞なく、本サイトの表示を修正します。
条文例は一般的な書き方の一例です。実際の使用では、別表の記載を許可証・登録票の記載どおりにし、特商法表記と同じ内容になっているか確認します。
表示の修正の期限も、規約に書いておく価値があります。許可や登録が更新されたり、取り消されたりしたとき、サイトの表示や標識が古いまま残ると、事実と異なる表示を続けることになります。表示の管理の担当と、変更があったときの修正の期限(例:○日以内)を、社内の運用にとどめず、提携先との契約にも反映します。取消しなどがあったときの契約側の対応は許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口のページに書いています。
起きがちなこと
場面別に見る、表示と実態のずれ
許可番号が別会社のものだった
起きがちなこと運営会社と許可を受けた会社が別で、サイトの表示欄に、許可を受けた会社の名前と番号が並んでいた。利用者は、運営会社が許可を受けていると受け取った
手当て許可の名義人と運営の主体を契約書の別表に書き、サイトの表示を名義人の名で出す。名義の使用に当たらない組み立てかも確認する
登録の更新後も、表示が古いまま
起きがちなこと登録の更新を受けたが、サイトと規約の有効期間の表示が更新前のまま残っていた
手当て許可・登録の期限の管理担当と、更新後の修正期限を決める。提携先の表示も、通知を受けて修正する条項を置く
規約と表記で返金の主体が違った
起きがちなこと規約は提供者が返金すると書き、特商法表記は当社が返金すると書いていた。利用者が返金を求めたとき、窓口が決まらなかった
手当て返金の主体、方法、時期を、規約と表記で同じ文面にする。変更するときは両方を同時に改訂する
提携先が登録票風の標識を使っていた
起きがちなこと登録を持たない提携先が、サイトに旅行業の登録を受けているかのような表示を載せていた
手当て提携先の表示ルールを契約で決め、確認と修正・削除の権限を持たせる(12条の9第2項)
許可番号・登録番号・標識の表示の点検
- 許可・登録を受けた名義と、サイトや規約に書いた氏名・名称が同じである。
- 番号、種別、有効期間を、許可証・登録票の記載どおりに写している。
- 標識やウェブ表示の義務がある分野は、条文と規則で、場所と方法を確認した。
- 許可・登録を、どの取引に結びつく表示かを特定している。
- 規約と特商法表記で、販売主体、価格の決定者、支払、キャンセル・返金(主体・方法・時期)が同じ内容になっている。
- 「当社は当事者ではない」と書いたときは、実態(価格設定、募集、決済、責任窓口)がその書き方と合っている。
- 許可・登録の更新、変更、失効があったときの、表示の修正担当と期限を決めている。
よくあるご質問
古物商は、サイトにどんな事項を表示する必要がありますか。
古物営業法12条2項は、事業の規模が著しく小さい場合その他国家公安委員会規則で定める場合を除き、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を、自動公衆送信により公衆の閲覧に供することを求めています。特定古物商は、取り扱う古物に関する事項も表示します(同条3項)。表示の場所や方法は国家公安委員会規則に委ねられているため、規則と所管の資料で確認が必要です。
警備業者の標識は、ウェブサイトにも載せる必要がありますか。
警備業法6条1項は、認定を受けたことを示す標識を主たる営業所の見やすい場所に掲示するとともに、事業の規模が著しく小さい場合その他内閣府令で定める場合を除き、内閣府令で定めるところにより、自動公衆送信により公衆の閲覧に供することを求めています。警備業者以外の者が、この標識やこれに類似する標識を掲示したり閲覧に供したりすることは禁止されています(同条2項)。例外の範囲や方法は、内閣府令で確認が必要です。
旅行業の登録を持っていれば、特商法表記に登録番号を書いてよいですか。
登録番号を載せること自体は問題になりません。ただし、載せた番号が、サービスの中のどの取引に関するものかが分かるように書かないと、すべての取引を旅行業として行っているように読めます。規約で「当事者ではない」と書いている取引があるときは、登録に関わる取引の範囲を特定して、規約と表記の説明が矛盾しないようにします。登録票の記載は、そのとおりに写します。
特定商取引法の表記には、許可番号を必ず書く必要がありますか。
特定商取引法11条の本文には、価格、支払の時期と方法、引渡時期・提供時期、申込みの期間、撤回・解除に関する事項などが挙げられ、それ以外は主務省令で定める事項とされています。許可番号が省令の表示事項に当たるかは、施行規則の条文で確認が必要です。載せる場合は、事実と一致し、規約や標識と食い違わないことが前提で、著しく事実に相違する表示は禁止されています(12条)。
許可番号を載せていた事業者が、許可を取り消されたときは、表示をどうしますか。
取消しを受けたら、許可を前提にした表示は事実と異なるものになります。速やかに表示を修正し、標識も撤去します。契約書や規約には、許可・登録に変更や失効、取消しがあったときの表示の修正の期限と担当を書いておき、提携先にも通知と修正を求める条項を置いておくと、対応が遅れません。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、事業の仕組みや契約の内容によって異なることがあります。許可・登録・認定の申請の手続や要件は、このサイトでは扱いません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 警察庁 / 観光庁 / 厚生労働省