警備員の欠格・年齢・教育と指導教育責任者:契約書に書く資格要件と条番号

警備業務の委託契約書には、警備員の資格や教育に関する条が置かれます。ところが、この一文のなかには、警備業法の別々の条が混ざっています。誰が何を満たした警備員を出すのかを、条文の層ごとに分けて書きます。

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「警備業法第3条に定める欠格事由に該当しない者」と書くと、警備業者になる側の事由まで警備員に及ぶ約束になり、第14条第1項の範囲とずれます。

このページの要点

  • 警備員になってはならない者と年齢は第14条第1項。第3条は警備業者の要件なので、警備員の条項には引かない。
  • 教育の根拠は法第21条第2項と施行規則第38条。時間数は区分ごとの表で決まるため、書き写さず「法令の定める基準以上」と書く。
  • 検定合格警備員の配置が必要な現場かどうかは、道路の種類や雑踏の区域などで決まる。現場の条件を伝える義務と、法定の種別・人数以上を置く義務を書く。
  • 指導教育責任者は営業所と警備業務の区分ごとに選任される。欠けたときの通知を決め、責任者の確認が何を保証するのかを絞って書く。

結論:警備員の要件は、欠格と年齢、教育、検定、責任者の四つの層に分けて、それぞれの条を正しく引く

警備業務を委託する契約書には、たいてい「警備員は法令の定める要件を満たした者とする」という趣旨の条が置かれます。ところがこの一文の中身は、警備業法のなかでも別々の条に分かれています。警備員になってはならない者と年齢の制限は第14条、警備員への教育は第21条、一定の警備業務で、検定に合格して合格証明書の交付を受けた警備員(以下「検定合格警備員」といいます。)を置くことは第18条と第23条、警備員の指導と教育を計画し管理する警備員指導教育責任者(以下「指導教育責任者」といいます。)は第22条です。契約書の側で条番号を一つ取り違えると、その条項は、約束したつもりの事柄を実際には約束していないことになります。

このページでは、警備員の資格と教育に関する条項を、条文の層ごとに整理します。警備業者が受ける認定そのものや、契約前後の書面の交付は警備業務委託契約書の作り方のページで、中止や天候による精算は警備の中止・天候・日割り半日割りの精算と保険のページで扱います。ここで扱うのは、委託者が「どの水準の警備員が現場に立つのか」を契約書の言葉にするときの、条文の引き方と書き方です。

なお、警備業者の認定の手続や必要書類は、このガイドの対象外です。警備員の就業上の取扱いなど労務に関する事項にも立ち入らず、警備業法が定める資格・教育・書面の面だけを書きます。

警備員に関する条項の「層」と条文の対応

層根拠の条文契約書で約束させる中身
警備業者そのものの欠格警備業法3条(営む者の要件)警備業者が認定(法4条)を受けていること。個々の警備員の話ではないので、警備員の条項には引かない
警備員になってはならない者・年齢警備業法14条18歳未満の者と、3条1号から7号に当たる者を従事させないこと。確認の措置を講じ、記録を備えること
警備員への教育警備業法21条2項、警備業法施行規則38条法定の教育を、法令の定める基準以上で実施すること。時間数の書き写しは避ける
検定合格警備員の配置警備業法18条・23条、警備員等の検定等に関する規則一定の現場で、種別ごとの検定に合格した警備員を、所定の人数、合格証明書を携帯させて置くこと
指導教育責任者警備業法22条、警備業法施行規則39条・40条営業所と警備業務の区分ごとに、資格者証を持つ者を選任していること。欠けたときの通知

欠格と年齢:第3条と第14条は別の条である

警備業法の第3条は「警備業を営んではならない者」を並べた条です。破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられた者などが並び、第8号以下には営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者、警備員指導教育責任者を選任すると認められない者、法人の役員に該当者がある法人といった、事業を営む者に固有の欠格事由まで含まれています。これは警備業者になる側の話です。

これに対して第14条は「警備員の制限」という見出しの条で、18歳未満の者または第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならないと定めます。第2項は、警備業者がこれらの者を警備業務に従事させてはならないとします。警備員個人について問題になるのは、年齢と、第3条のうち第1号から第7号の事由に限られます。第8号以下の事由は、警備員個人には及びません。

契約書で「警備員は警備業法第3条に定める欠格事由に該当しない者であること」と書くと、第3条の第8号から第11号までが警備員個人にも及ぶように読め、実態と合いません。逆に「第14条に定める欠格事由」と書いても、第14条は年齢の制限も含む条ですから、年齢の要件が別に必要かどうかが曖昧になります。条番号を引くときは、その条が誰に向けた条か、どの範囲の事由を含むかを、条文を開いて確かめてから書きます。

書き方の例(一般的な例)欠格と年齢の条項の書き方

欠格事由の引き方

よくある書き方乙は、警備業法第3条に定める欠格事由のいずれにも該当しない者を警備員として従事させる。
整えた書き方乙は、18歳未満の者及び警備業法第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者(同法第14条第1項)を、本業務に従事させない。

理由第3条は警備業者になる側の欠格事由で、第8号以下は警備員個人に及びません。警備員の制限は第14条第1項が定めており、その範囲をそのまま写せば、約束の範囲が条文とずれません。

確認の措置

よくある書き方乙は、警備員が適格であることを確認する。
整えた書き方乙は、前項に該当しないことを確認するための措置(誓約書面の提出を受けることを含む。)を講じ、その記録を法令の定めるところにより備える。

理由警備業法施行規則66条1項2号は、第14条第1項に該当しない旨を誓約する書面の提出を受けた旨や、確認のために講じた措置を記載した書類を備えるべきものとしています。確認の方法と記録の備付けを条項に結び付けておくと、約束の中身が具体になります。

警備員の欠格に関する確認の記録は、警備業者が営業所に備える書類(法第45条、施行規則第66条)の一つです。ここで委託者が踏まえておきたいのは、確認の対象は個人の経歴や健康に関わる事項を含みうるという点です。委託者がこれらの資料そのものを受け取る設計にすると、取り扱いの責任まで引き受けることになります。一般には、警備業者に表明させ、確認の措置を講じた旨の説明を受けるにとどめ、個々の警備員の資料は警備業者の手元にとどめる書き方が合います。

教育:第21条第2項と施行規則第38条の関係を押さえる

警備員への教育の根拠は、警備業法第21条第2項です。警備業者は、その警備員に対し、警備業務を適正に実施させるために、内閣府令で定めるところにより教育を行うとともに、必要な指導と監督をしなければならないと定められています。具体的な中身は、内閣府令である警備業法施行規則の第38条に置かれています。契約書のなかで規則の条番号を取り違えて教育の根拠に引くと、実際の条とずれた約束になりかねません。教育の根拠を引くときは、法の条と規則の条を、いずれも条文で確かめてから書くのが前提です。

第38条の構造を大づかみに説明します。警備員教育は、基本教育、業務別教育、そして必要に応じて行う知識・技能の向上のための教育から成ります(第1項)。基本教育は、警備業務実施の基本原則、警備業法その他の法令、事故発生時の警察機関への連絡や応急の措置などを内容とします。業務別教育は、警備員を主として従事させる警備業務の区分に応じて、その業務を適正に実施するための知識と技能を内容とします。雑踏や交通誘導を行う第2号の警備業務については、道路交通関係法令、車両や歩行者の誘導の方法、雑踏の整理の方法、資機材の使用方法、負傷等の事故に際してとるべき措置などが掲げられています。

時間数についても規定があります。2026年10月時点の規則では、新たに警備業務に従事させようとする警備員への基本教育と業務別教育は、原則として合計で一定の時間数以上、現に従事している警備員への教育は毎年度一定の時間数以上とされており、検定の合格証明書を持つ者や指導教育責任者資格者証を持つ者、直近の従事経験がある者などについては、軽減の区分が表に細かく定められています。時間数は区分ごとの表で決まるため、契約書に一つの数字だけを書き写すと、区分によっては実態と合いません。

ここから導かれる書き方は二つあります。一つは、時間数を契約書に書き写さず、「法令の定める基準以上の教育」を実施する、と書く方法です。法令が改正されたときにも、契約書の条項が古くなりません。もう一つは、時間数を契約書に書く場合に、それが法定の最低基準なのか、委託者が上乗せして求める水準なのかを分けて書く方法です。法定の水準を超える部分は、あくまで契約上の約束であり、不履行の効果(是正の催告、解除、費用の負担)も契約で別に決めておく必要があります。

第○条警備員の教育(一般的な例)

  1. 乙は、本業務に従事させる警備員に対し、警備業法第21条第2項及び警備業法施行規則第38条に定める警備員教育(基本教育及び業務別教育を含む。)を、法令の定める基準以上の内容及び時間数で実施するものとする。
  2. 乙は、前項の教育の実施年月日、内容、時間数及び実施者について、法令の定めるところにより記録を備え、甲の求めがあったときは、警備員の個人を特定する情報を除いて、その概要を説明する。
  3. 現場の地理、時間帯その他の個別の事情に関する申し送り及び実地の確認(以下「現場説明」という。)は、第1項の教育とは別のものとし、その実施の有無は第1項の教育の履行に影響しない。

現場説明を法定の教育と別に位置付けるのは、現場でのオリエンテーションを数に含めて「教育は済んだ」と主張されたり、逆に法定の教育を現場説明で代替されたりする混同を避けるためです。

現場説明を法定の教育と切り分けておく理由は、教育の記録と結び付いているからです。施行規則第66条は、警備員教育に係る実施年月日、内容、方法、時間数、実施場所、実施者の氏名、対象となった警備員の氏名を年度ごとに記録し、指導教育責任者と実施者が誤りのないことを確認する旨を付記した書類を備えることを求めています。現場説明まで法定教育の時間に混ぜると、この記録の信頼性が損なわれます。

検定合格警備員の配置:第18条と第23条、そして規則の表

警備業法第18条は、警備業務のうち、実施に専門的知識と能力を要し、かつ事故が起きると不特定または多数の者の生命・身体・財産に危険が及ぶおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める種別については、その種別ごとに合格証明書の交付を受けている警備員に実施させなければならないと定めます。合格証明書は、第23条の検定に合格した者に公安委員会が交付するものです(第23条第4項)。この「検定合格警備員」の配置が義務になる現場かどうかは、契約を結ぶ前に確認しておくべき事項です。

種別と配置の基準は、国家公安委員会規則である「警備員等の検定等に関する規則」に定められています。雑踏警備業務や交通誘導警備業務は、その種別に含まれます(第1条)。配置の基準は第2条の表にあり、2026年10月時点の規則では、雑踏警備業務は、警備を行う場所ごとに(その場所が適正な実施の確保上二以上の区域に区分される場合は区域ごとに)、一級または二級の検定に合格した警備員を一人以上置くこととされ、区域に区分される場合には、これに加えて場所ごとに一級の検定に合格した警備員を一人置くこととされています。交通誘導警備業務は、高速自動車国道または自動車専用道路で行う場合と、道路や交通の状況から公安委員会が危険を防止するため必要と認める場合に、場所ごとに一級または二級の検定に合格した警備員を一人以上置くこととされています。検定は種別ごとに一級と二級に分かれます(第4条)。

契約書の書き方に関係するのは次の点です。第一に、配置が必要になる現場かどうかは、現場の道路の種類や、公安委員会が指定する道路・交通の状況など、委託者の側が把握している事情で決まる部分が大きいということです。したがって、現場の場所と道路の条件を、委託者が警備業者に正確に伝える義務を、契約に置いておく意味があります。第二に、配置の種別と人数は、現場ごとの指示書や別紙に書き、契約本体では「法令により検定合格警備員の配置が必要な現場については、法令の定める種別及び人数以上を配置する」と、法令を引く形にしておくと、規則の改正に引きずられません。第三に、検定合格警備員は、その業務に従事している間、合格証明書を携帯し、関係人から請求があれば提示しなければなりません(検定規則第3条)。この点も条項に写しておくと、現場での確認の根拠になります。

確認の問い検定合格警備員の要否と配置を確かめる問い

  1. 現場は、高速自動車国道や自動車専用道路を含むか。

    理由含む場合は、交通誘導警備業務に一級または二級の検定に合格した警備員を置く場面に当たりうるためです。規則の表で確認します。

  2. その道路や区間は、公安委員会が危険防止のため必要と認めているものか。

    理由道路・交通の状況に応じて公安委員会が必要と認める場合が規則に掲げられており、この判断は、各都道府県の公安委員会の運用に依存するためです。

  3. 雑踏警備を行う場所は、二以上の区域に区分されるか。

    理由区域に区分される場合は、区域ごとに検定合格警備員を置く基準が規則にあり、人数の見積りに影響するためです。

  4. 配置する検定合格警備員は、合格証明書を携帯して現場に入るか。

    理由携帯と提示は規則上の義務であり、提示を求められたときに応じられるかが、契約の履行の確認になるためです。

  5. 検定合格警備員が現場に来られなくなった場合の代替は、誰が、どのように確保するか。

    理由配置義務のある現場で人数が不足すると、そのまま警備を行えない事態になるためです。代替の確保と通知を決めておきます。

指導教育責任者:置かれていること、欠けたときの通知、責任者の業務の範囲

警備業法第22条第1項は、警備業者に、営業所ごと、かつ、その営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに、指導教育責任者を選任することを求めています。指導教育責任者は、警備員の指導と教育に関する計画を作成し、それに基づいて警備員を指導・教育する業務を行う者で、公安委員会が交付する指導教育責任者資格者証を持つ者のなかから選任されます。資格者証は、警備業務の区分ごとに交付されます(同条第3項)。

選任した者が欠けたときは、その日から14日間は、指導教育責任者を選任しておかなくてよいという猶予があります(同条第1項ただし書)。契約書の側では、この猶予の存在を前提に、「欠けた場合には、直ちに委託者に通知し、法令の定める期間内に後任を選任する」と定めておくのが実務的です。猶予があるといっても、その間に委託者の現場の警備の質が下がっていてよいという意味ではありません。後任が決まるまでの間、現場の警備計画の確認をどう行うかを、あわせて決めておきます。

責任者の業務の範囲にも、条項を書くときの注意があります。施行規則第40条は、指導教育責任者の業務を、指導計画書の作成と、それに基づく警備員の実地の指導および記録の作成、教育計画書の作成と、それに基づく教育の実施の管理、教育の実施に関する記録の記載の監督、警備員の指導・教育について警備業者に必要な助言をすること、と定めています。つまり、法令が責任者に求めているのは、指導と教育の計画・管理・記録・助言であり、現場ごとの配置の決定や現場の指揮の責任を、そのまま責任者に負わせているわけではありません。契約書で「警備計画は指導教育責任者の確認を経て提出する」のような約束を置く場合は、責任者の確認が何を保証するのか(教育の観点からの確認なのか、配置の妥当性まで含むのか)を明らかにしておく必要があります。

書き方の例(一般的な例)指導教育責任者の条項の書き方

選任の約束

よくある書き方乙には、警備員指導教育責任者を置く。
整えた書き方乙は、本業務を取り扱う営業所について、本業務の警備業務の区分に係る警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者を、警備業法第22条第1項により選任していることを表明する。選任した者が欠けたときは、直ちに甲に通知する。

理由選任は営業所と警備業務の区分ごとに必要で、資格者証も区分ごとに交付されます。どの区分の責任者なのかを書かないと、別の区分の責任者がいるだけでも約束を果たしたように読めます。

責任者の確認

よくある書き方警備計画は、指導教育責任者が承認したものを甲に提出する。
整えた書き方乙は、警備計画の作成に当たり、警備員の指導及び教育の観点から、警備員指導教育責任者の助言を受けるものとする。配置の最終的な決定は乙が行う。

理由責任者の法定の業務は指導計画・教育計画・記録・助言であり、現場の配置の決定を担わせる規定ではありません。責任者の確認の意味を絞ることで、約束と責任の所在が一致します。

教育の記録の開示と、公安委員会の指示で警備員を外すとき

教育に関する記録は、警備業者が営業所ごとに備える書類です。警備業法第45条は、警備業者が営業所ごとに警備員の名簿その他の内閣府令で定める書類を備えて必要な事項を記載することを求め、施行規則第66条がその書類を具体的に挙げています。年度ごとの教育計画書、教育の実施に係る記録の書類は、当該年度が終了した後も、その終了の日から2年間は備えておくべきものとされ、教育計画書は当該年度の開始の日の30日前までに備えておく必要があります(同条第2項・第3項)。これらは公安委員会が警備業者の営業所に立ち入って検査する(法第47条)際の対象にもなります。

契約書で教育の記録の開示を約束させるときは、備付けの書類をそのまま渡す設計にはせず、委託者が確かめたいことに合わせて出す範囲を決めます。たとえば、現場に入る警備員が、当該警備業務の区分の教育を受けていること、検定が必要な現場では合格証明書の交付を受けていることを、書面で確認できれば足りる場合が多くあります。警備員の氏名や住所などの個人を特定する情報を含む書類を、委託者が受け取ることは、委託者の側に取扱いの責任が生じます。契約には、個人を特定する情報を除いた概要の提示、または委託者の立会いの下での閲覧、という方法を書いておくと運用しやすくなります。

保存期間を契約で定めるときも、法定の期間を超える長さを書く場合には、警備業者に追加の負担が生じることを前提にしておきます。法定の期間は、教育に関する書類で年度終了後2年とされているため、「契約終了後も5年は保存する」のように法定より長く定めるなら、費用や管理の方法まで含めて合意しておくのが筋です。何年と書くかよりも、誰が、どこに、どのように保管し、求められたらどの形式で出すかを決めるほうが、実際に役立ちます。

もう一つ、契約に入れておきたいのが、行政の指示への対応です。警備業法第48条は、警備業者またはその警備員が法令に違反し、警備業務の適正な実施が害されるおそれがあるときは、公安委員会が、その警備員を警備業務に従事させない措置その他の必要な措置をとるべきことを警備業者に指示できると定めています。指示が出た場合に、警備業者が当該警備員を現場から外して交替させる義務、それに伴う配置の変更の通知、交替ができない間の警備の実施の取扱い(一部不実施の扱いを含む)を、契約に書いておくと、指示のあった日に現場が混乱せずに済みます。許可の取消しや停止のような、より重い場面は許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口で扱います。

警備員に関する要件を確かめる、契約前から現場までの流れ(一般的な例)

  1. 契約前警備業者の認定、指導教育責任者の選任、警備員の欠格・年齢の確認措置、教育の実施を、表明として受ける。警備業者の認定の表明は許可の保有を相手に約束させる契約条項の型で書く。
  2. 現場の条件の通知現場の場所、道路の種類、雑踏の区域区分の見込みなど、検定合格警備員の配置が必要になりうる事情を、委託者が警備業者に伝える。
  3. 配置の決定警備業者が、配置する警備員の人数と、検定合格警備員の種別・人数を決め、指示書または別紙に記載して通知する。
  4. 現場検定合格警備員は合格証明書を携帯し、提示を求められたら応じる。現場説明は法定の教育とは別に行う。
  5. 変更・交替責任者や検定合格警備員が欠けたとき、行政の指示で警備員を外すときは、直ちに通知し、交替の手配と警備の実施の扱いを決める。

この流れは、契約書の条項の並べ方の目安です。個別の現場の条件に応じて、通知の方法や期限を決めます。

起きがちなこと

最後に、警備員の資格と教育の条項で起きがちなことと、契約でしておく手当てを、場面別にまとめます。

場面別:起きがちなことと手当て

欠格の条を取り違えたまま、契約を結んでしまった

起きがちなこと「警備業法第3条の欠格事由に該当しない者」と書き、警備員個人に及ばない事由まで含めて約束した形になった。後で第14条との違いに気づいても、どこまで約束したのかが曖昧になった。

手当て警備員の欠格と年齢は第14条第1項の範囲で書く。第3条は警備業者の要件として、認定の表明と結び付ける。

教育の時間数を書き写したら、規則の改正で食い違った

起きがちなこと契約書に書いた時間数が、区分ごとの表の基準や、後の改正とずれた。法定の水準を満たしているのに、契約上の数字を下回ったとして争いになった。

手当て「法令の定める基準以上」と書く。契約上の上乗せがあるなら、法定の水準と分けて書く。

配置が必要な現場なのに、検定合格警備員が来なかった

起きがちなこと現場が自動車専用道路を含むことを、委託者が警備業者に伝えていなかった。当日、検定合格警備員の配置が必要だと分かったが、手配が間に合わなかった。

手当て現場の条件を通知する義務と、法令により配置が必要な現場では法定の種別・人数以上を配置する義務を、条項に置く。

指導教育責任者の確認を、配置の妥当性の保証と受け取った

起きがちなこと「責任者の承認済み」と書いた警備計画に不備があり、委託者が責任者の確認を理由に責任を求めたが、法定の業務の範囲とは異なる、と争いになった。

手当て責任者の確認が教育・指導の観点であること、配置の最終決定は警備業者が行うことを、書き分ける。

行政の指示で警備員を外したら、現場の人数が足りなくなった

起きがちなこと公安委員会の指示で警備員を従事させない措置をとったが、交替の手配や通知の約束がなく、当日の警備が一部実施されなかった。

手当て指示を受けたときの通知、交替の義務、交替ができない間の実施と精算の扱いを、あらかじめ決める。

精算の考え方は警備の中止・天候・日割り半日割りの精算と保険で、名義を貸すことの禁止(法第13条)との関係は名義貸し・又貸しにならない委託の組み方で扱います。

契約書の点検リスト(警備員の資格と教育)

  • 警備員の欠格と年齢は、第14条第1項の範囲(18歳未満、第3条第1号から第7号)で書いているか。
  • 第3条を、警備員個人の欠格事由として引いていないか。
  • 教育の根拠を、法第21条第2項と施行規則第38条で確かめたか。時間数を書き写さず、法令の基準以上と書いているか。
  • 現場説明と法定の教育を、条項のうえで分けているか。
  • 検定合格警備員の配置が必要な現場かどうかを、委託者が伝える義務と、法令の定める種別・人数以上を置く義務を置いたか。
  • 指導教育責任者について、営業所と警備業務の区分を特定し、欠けたときの通知を定めたか。
  • 教育の記録の開示の範囲を、個人を特定する情報を除く形などで決めているか。
  • 公安委員会の指示で警備員を外すときの交替と通知を決めているか。

よくあるご質問

警備員になれない者は、警備業法のどの条で定められていますか。

警備業法第14条が「警備員の制限」を定めています。18歳未満の者、または第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員になってはならず、警備業者もそれらの者を警備業務に従事させてはなりません(第14条第1項・第2項)。第3条は警備業を営んではならない者を定める条で、第8号以下には営業を営む者に固有の事由が含まれるため、警備員の条項には第14条を引きます。

警備員の教育の時間数は、契約書に書くべきですか。

法定の教育の根拠は警備業法第21条第2項と施行規則第38条です。時間数は警備員の区分ごとの表で決まり、改正もありうるため、一つの数字を書き写すより「法令の定める基準以上」と書くほうが実態と合います。委託者が上乗せで求める教育があるなら、法定の水準と分けて書き、不履行の効果も別に決めておきます。

検定合格警備員は、どの現場で必ず必要になりますか。

警備業法第18条と「警備員等の検定等に関する規則」第2条の表で決まります。2026年10月時点の規則では、雑踏警備業務や、高速自動車国道・自動車専用道路での交通誘導警備業務、公安委員会が危険防止のため必要と認める交通誘導警備業務などが掲げられています。現場の条件で当てはまるかが変わるため、条文と所管の公安委員会の運用で確認が必要です。

指導教育責任者が退いたとき、警備業者は直ちに契約違反になりますか。

警備業法第22条第1項のただし書は、選任した者が欠けたときは、その日から14日間は選任しておかなくてもよいとしています。ただ、これは警備業法上の猶予で、契約上は別の問題です。契約には、欠けたときの通知と、後任を選任する期間、その間の警備計画の確認の方法を書いておくと、現場の運用が途切れません。

委託者は、警備員の教育の記録を見せてもらえますか。

教育に関する書類は、警備業者が営業所ごとに備える書類で、法第45条と施行規則第66条に定めがあります。委託者に見せる義務が法律で直接定められているわけではないため、契約で開示の範囲と方法を決めます。警備員の個人を特定する情報を除いた概要の提示や、立会いの下での閲覧のように、委託者が取扱いの責任を負わない形が合います。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、事業の仕組みや契約の内容によって異なることがあります。許可・登録・認定の申請の手続や要件は、このサイトでは扱いません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 警察庁 / 観光庁 / 厚生労働省

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