このページの要点
- 委託の型を、許可を持つ古物商の代理人等として動く型(A)と、買取員が自己の許可で営む型(B)に分け、どちらかを契約書に書く。許可を持たない型は契約書では整えられない。
- 古物を受け取れる場所は、営業所と取引の相手方の住所・居所に限られる(第14条第1項)。「顧客の指定する場所」と書くと条文より広い約束になる。
- 相手方の確認、帳簿への記載、3年の保存、不正品の疑いの申告は古物商の義務。現場の記録を委託元の帳簿に取り込む経路と、疑いを抱いたときの連絡手順を決める。
- 買取員に「許可の取得・維持」を求める一文は、型Aでは実態に合わない。許可の主体を特定し、変更・取消し・停止の通知と解除を結び付ける。
結論:出張買取を委託する前に、許可の主体、受け取る場所、記録の持ち主を決める
古物(一度使用された物品など。古物営業法第2条第1項)を、売り手の自宅などへ出向いて買い取る事業では、買取の担い手を外部の人に委託したい場面が出てきます。ところが、買取は古物営業法の許可を前提にした営業で、誰の許可で、誰の計算で、どこで古物を受け取り、どの記録を誰が持つのかが曖昧なまま委託すると、契約書のどの条項も機能しなくなります。委託契約を結ぶ前に決めておくべきことは三つです。
一つ目は、許可の主体です。買取を行う者が、自分の許可で営むのか、許可を持つ他の古物商の代理人等(代理人、使用人その他の従業者。第11条第2項)として動くのかで、契約書の中心が変わります。二つ目は、古物を受け取る場所です。古物商は、営業所と取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ることを原則として禁じられています(第14条第1項)。三つ目は、記録の持ち主です。相手方の確認(第15条)と帳簿への記載(第16条)、その3年間の保存(第18条)は、古物商の義務であり、現場で買取を担う人の手元だけに記録が残る形では、義務が果たせません。
このページが扱うのは、事業者が買取員に出張買取を委託するときの委託契約です。個人から買い取るときに、特定商取引法の訪問購入として別にかかる規律(書面の交付やクーリング・オフなど)の内容そのものは、別のガイドで扱います。本ページでは、委託契約のなかでそれらをどう守らせるかの書き方にとどめます。また、買取員との関係の労務上の整理にも立ち入りません。古物営業法が定める許可・確認・記録の面だけを書きます。名義の貸し借りにならない委託の組み方は名義貸し・又貸しにならない委託の組み方で、許可の保有を約束させる書き方は許可の保有を相手に約束させる契約条項で整理しています。
委託の型を三つに分けて考える:代理人等として動く型、自己の許可で営む型、許可を持たない型
出張買取の委託は、古物営業法の面から見ると、大きく三つの型に整理できます。どの型を選ぶかで、契約書の中心になる条項が異なります。
出張買取の委託の三つの型(古物営業法の面からの整理)
| 型 | 許可の主体 | 行商従業者証 | 確認・帳簿の主体 | 契約書の中心条項 |
|---|---|---|---|---|
| A 許可を持つ古物商の代理人等として動く | 委託元(古物商)の許可。買取員は、その古物営業の代理人等 | 行商をさせるときは、代理人等に携帯させる必要がある(第11条第2項) | 委託元(古物商)。買取員は、委託元の義務を履行する手足になる | 買取の範囲と価格の基準、確認と記録の方法、記録の提出、証票の管理 |
| B 買取員が自己の許可で営む | 買取員自身の許可(第3条)。委託元は、買取員から古物を買い受ける | 買取員が自ら行商をするなら、許可証を携帯する(第11条第1項) | 買取員は自分の買取で、委託元は買い受けのときに、それぞれ義務を負う | 買取員の許可の保有と維持、受渡しの場所、受渡し時の確認と記録 |
| C 許可を持たない者が買い取る | 許可を持つ者がいない | 該当しない | 義務を負う者が不在 | 契約書では整えられない。AかBへの組み直しが必要 |
型Aでは、買取員は委託元の古物営業の「代理人、使用人その他の従業者」(法第11条第2項は、これらをまとめて「代理人等」と呼びます。)として動きます。買い取った古物は、委託元が買い受けたことになり、確認と帳簿は委託元の義務です。この型で契約書に書くべきなのは、買取員が委託元の古物営業の一部を担っていることを前提にした、現場での確認の方法、記録の作り方と提出の期限、委託元が交付する証票の管理です。ここで言う「代理人等」は、古物営業法の文言を借りた整理であり、買取員と委託元の間の就業上の関係を判断するものではありません。そうした労務の面には、このガイドでは立ち入りません。
型Bでは、買取員が自分の許可で、自分の営業として古物を買い取ります。委託元は、その買取員から古物を買い受ける立場です。この型で問題になるのは、委託元が買取員から古物を受け取る場所です。買取員が古物商であれば、買取員との取引は古物商間の取引ですが、買取員が古物商でなければ、委託元が営業所以外の場所で受け取ることは第14条第1項に抵触するおそれがあります。受渡しの場所は、委託元の営業所とする、と契約書で特定しておきます。
型Cは、買取員が許可を持たず、許可を持つ古物商の代理人等にも当たらない構成です。許可を受けないで古物営業を営むことはできません(第3条)から、契約書の文言でこの構成を適法にすることはできず、型Aか型Bに組み直すことになります。「委託元が許可を持っているから、買取員は許可を持たなくても大丈夫」という説明を受けて契約を結ぶと、この型になっていることがあります。委託元の許可は、委託元自身の営業と、委託元の代理人等の行為を覆うもので、独立した別の営業を覆うものではないという点に注意が必要です。
なお、買取員に任せる仕事を、古物の売買そのものと切り分ける方法もあります。訪問の日程の調整や、鑑定の補助、荷物の運搬のように、古物の売買に関与しない業務だけを委託するなら、許可の問題が生じにくくなります。ただし、買取の価格を決める、代金を授受する、といったことに関わるなら、売買への関与と評価される可能性が高くなるため、切り分けの線引きを契約書に書くときは、実態と合わせることが肝心です。
許可証と行商従業者証:携帯、提示、返却を契約に書く
古物営業法第11条は、許可証等の携帯について三つのことを定めています。古物商が行商をし、または競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならないこと(第1項)。古物商が代理人等に行商をさせるときは、その代理人等に、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければならないこと(第2項)。行商をする場合に、取引の相手方から許可証または行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならないこと(第3項)です。行商従業者証の様式は、古物営業法施行規則の第10条が、別記様式第12号などと定めています。
ここで問題になるのは、出張して相手の自宅で買い取る営業が、許可の上でいう「行商」に当たるかどうかです。許可を受けるときには、行商をするかどうかの別が許可に関する事項として定められており(第5条第1項第5号)、行商に当たるかどうかで、携帯すべき証票が変わります。出向いての買取の取扱いは、条文と所管の公安委員会の運用で確認が必要です。契約書では、この確認の結果を前提に、買取員が現場で携帯する証票の種類を特定し、提示を求められたときの対応を義務づけます。
証票の管理も、契約書に書くべき事柄です。行商従業者証は、古物商が交付する証票ですから、委託元の財産として、貸与であること、他人に貸さないこと、紛失・盗難があったときの即時の連絡、契約が終了したときの返却を書きます。特に、返却を求める条項がないと、契約終了後に元の買取員が証票を持ち続けて現場に出るおそれがあります。
第○条証票の携帯・提示・返却(型A、一般的な例)
- 乙(買取員)は、委託元の古物営業の代理人等として出張による買取を行うときは、甲(委託元)が交付した行商従業者証を携帯し、取引の相手方から提示を求められたときは、これを提示する。
- 乙は、前項の行商従業者証を、本契約に基づく業務以外の目的に使用せず、他人に貸与し、又は譲渡しない。乙は、これを紛失し、又は盗取されたときは、直ちに甲に通知する。
- 乙は、本契約が終了したとき、又は甲から請求があったときは、直ちに行商従業者証を甲に返却する。
型Bでは、買取員が自己の許可証を携帯する(第11条第1項)ことを前提に、携帯と提示の約束に書き換えます。
営業所と相手方の住所・居所以外では受け取らない:第14条第1項
古物営業法第14条第1項は、古物商が、その営業所または取引の相手方の住所もしくは居所以外の場所で、古物商以外の者から、買い受け、交換し、または売却もしくは交換の委託を受けるために古物を受け取ってはならないと定めています。出張買取でいえば、相手の自宅(住所・居所)は許されますが、待ち合わせた喫茶店、駅、路上、駐車場などで古物を受け取ることは、この規定に抵触します。ただし書で、仮設店舗において古物営業を営む場合には、あらかじめ日時と場所を公安委員会に届け出れば例外とされています。
契約書に「顧客宅または顧客の指定する場所で買い取る」のように書いてしまうと、条文より広い約束をしたことになります。顧客が指定した場所が、顧客の住所でも居所でもなければ、そこでの受取りは許されません。現場で顧客から「今日は仕事場で渡したい」「駅の近くで会いたい」と言われたときの対応を、買取員が自己判断せずに済むよう、契約書で受取場所を限定し、例外の取扱いも決めておきます。
書き方の例(一般的な例)受取場所の書き方
受取場所
理由「顧客の指定する場所」は、条文が認める範囲(営業所、相手方の住所・居所)を超えるおそれがあります。受取場所を条文の範囲に絞り、範囲外の申出への対応を決めておくと、買取員の判断のぶれを防げます。
受け取った後の運搬
理由買取員が古物商でないとき、委託元が営業所以外の場所で買取員から古物を受け取ることは、第14条第1項の問題になりえます。納入場所を営業所に固定すると、この問題を避けられます。
契約書のうえでは、仮設店舗の例外にも気をつけます。仮設店舗を出して古物営業を営む場合の届出は、古物商の側が行うもので(第14条第1項ただし書、施行規則第14条の2)、買取員が自己判断で行えるものではありません。委託契約に、仮設店舗による買取を含めるなら、委託元が届出を済ませた日時と場所に限る、と書いておきます。
相手方の確認と記録:第15条の措置、不正品の疑いがあるとき
古物商は、古物を買い受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認する、これらを記載した署名のある文書の交付を受ける、電子署名のある電磁的記録の提供を受ける、またはこれらに準ずる国家公安委員会規則で定める措置をとる、のいずれかを講じなければなりません(第15条第1項)。対面で買い取る出張買取では、古物営業法施行規則第15条第1項が、身分証明書、運転免許証、個人番号カードなど、住所・氏名・年齢または生年月日を証する資料の提示を受けることなどを定めています。
この確認には例外があります。対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満の取引は、確認が要りません(第15条第2項第1号)。2026年10月時点の規則では、その金額は1万円とされています(施行規則第16条第1項)。ただし、規則に掲げる特定の品目(自動二輪車、書籍、光学的方法で音や影像を記録した物など)は、金額にかかわらず確認が必要とされています(同条第2項)。契約書に「1万円未満の取引では確認を省略してよい」と一律に書くと、品目によっては条文に反します。確認を省略できる範囲を契約書に書く場合は、法令の定めの範囲に限る、と書き、品目の確認も買取員に義務づけます。
もう一つ、現場で重要なのは、不正品の疑いがあるときの対応です。古物商は、古物を買い受けようとする場合に、その古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官にその旨を申告しなければなりません(第15条第3項)。ここでの「不正品」は、盗品など、正当な権限なく手に入れられたと疑われるものを指します。委託元の側から見れば、買取員が疑わしい古物を黙って買い取る、あるいは買い取らずに立ち去って何も報告しない、という事態を避けたいところです。委託契約には、疑いを抱いたときの連絡先と手順、自己判断で取引を完了させたり処分したりしてはならないこと、申告に必要な情報(相手方、古物の特徴、取引の経緯)を委託元に伝えることを書いておきます。
確認の問い出張買取の委託契約で、現場の確認と記録について確かめる問い
相手方の確認は、どの方法で行い、誰が確認したのかを記録するか。
理由確認の措置の区分は帳簿の記載事項です(第16条第5号)。確認の方法と、確認した者の別が残らないと、帳簿が不完全になります。
1万円未満の取引で確認を省略するとき、品目の除外を確認しているか。
理由規則が掲げる品目は、金額にかかわらず確認が必要です。省略の基準を現場に任せると、条文に反します。
不正品の疑いを抱いたとき、買取員は誰に、どの方法で連絡するのか。
理由申告は古物商の義務であり、委託元が事実を把握しなければ、直ちに申告できません。連絡が遅れると、申告が遅れます。
現場で作った書類は、いつ、どの形で、委託元に引き渡すのか。
理由帳簿は営業所に備えるものです(第18条)。現場で記入した控えや写しを、委託元の帳簿に反映する経路が必要です。
相手方の身分証の写しや画像など、個人情報を含む資料は、どこに、いつまで保管するのか。
理由確認のために受け取った資料は、取扱いの責任を伴います。保管の場所、期間、廃棄の方法、委託終了後の扱いを決めておく必要があります。
相手が個人(消費者)のときは、古物営業法のほかに、特定商取引法の訪問購入の規律が重なります。訪問購入は、物品の売買契約の申込みを受け、または売買契約を締結して行う物品の購入で、営業所等以外の場所で行うものをいい(特定商取引法第58条の4)、購入業者には、勧誘に先立つ氏名等の明示(第58条の5)、勧誘の要請をしていない者に対する勧誘の禁止(第58条の6)、契約の内容を明らかにする書面の交付(第58条の7、第58条の8)、クーリング・オフ(第58条の14)、クーリング・オフ期間中の物品の引渡しの拒絶(第58条の15)などの義務が課されます。これらの内容は別のガイドで扱いますが、委託契約の側では、買取員がこれらを守ること、疑義やクレームが出たときに直ちに委託元へ連絡すること、書面の交付と引渡しの時期の運用を委託元の指示に従うことを、義務として書いておく必要があります。
帳簿への記載と3年の保存:第16条と第18条
古物商は、売買または交換のため、あるいは売買または交換の委託により、古物を受け取り、または引き渡したときは、その都度、取引の年月日、古物の品目と数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、確認の措置の区分を、帳簿等に記載し、または電磁的方法により記録しておかなければなりません(第16条)。帳簿等は最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けておきます。電磁的方法による記録の場合は、その記録をした日から3年間、営業所において直ちに書面に表示できるようにして保存します(第18条第1項)。帳簿等を毀損し、亡失し、または滅失したときは、直ちに営業所の所在地の所轄警察署長に届け出なければなりません(同条第2項)。
なお、前の節で触れた少額の取引(確認の措置が不要な場合。第15条第2項)は、第16条ただし書により、帳簿等への記載も要りません。ただし、規則第16条第2項に掲げる品目は金額にかかわらず確認が必要で、記載も必要です。契約書で記載を省ける範囲を書くときは、この範囲を超えないようにします。
委託契約の文脈で重要なのは、帳簿の持ち主と、現場の記録の流れです。帳簿は営業所に備えるものですから、買取員が現場で記入した控えや、取引伝票を、委託元の帳簿に取り込む経路が必要です。古物営業法施行規則第17条は、帳簿に準ずる書類として、取引の順に記載できる様式の書類のほか、取引ごとに記載できる取引伝票を認め、取引伝票は取引の順にとじ合わせておくことを求めています(同条第2項・第3項)。電磁的方法で保存する場合は、国家公安委員会が定める基準を確保するよう努めることが求められます(同規則第19条)。
契約に書くべきことは、次の五点に整理できます。第一に、現場の記録(伝票や撮影した画像など)を作成する義務。第二に、委託元へ引き渡す期限と方法。第三に、原本の帰属(委託元)と、買取員が写しを保管してよいかどうか。第四に、契約終了後の記録の引渡しと、買取員の手元に残った記録の廃棄。第五に、記録を紛失したときの即時の連絡です。第18条第2項は、帳簿等の亡失に対して直ちに届出を求めていますから、紛失の連絡が遅れると、委託元の届出も遅れます。
第○条取引の記録(型A、一般的な例)
- 乙は、買取のたびに、取引の年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所、氏名、職業及び年齢、並びに相手方の確認のためにとった措置の区分を、甲の指定する様式(取引伝票を含む。)に記載する。
- 乙は、前項の書類を、買取の日から甲の定める期限までに、甲に引き渡す。引き渡した書類の原本は甲に帰属し、乙は、甲の承諾なく写しを保管し、又は第三者に開示しない。
- 乙は、第1項の書類を紛失し、又は毀損したときは、直ちに甲に通知する。
- 本契約が終了したときは、乙は、甲に引き渡していない書類及びその写しを、直ちに甲に引き渡し、又は甲の指示に従って廃棄する。
型Bでは、買取員が自己の帳簿に記載し、保存する義務を負う(第16条・第18条)ことを前提に、委託元が買取員から古物を買い受けるときの記録の取り交わしに書き換えます。
許可を持たない委託先に「許可の維持」を保証させる条項の落とし穴
委託契約書に、「乙は、業務に必要な許可(古物商の許可など)を取得し、維持する」といった一文を置く例は少なくありません。この一文には、二つの落とし穴があります。一つは、買取員が、型Aの代理人等として動くのであれば、買取員自身が許可を持つ必要はなく、許可を持つのは委託元であるにもかかわらず、買取員に「許可を取得・維持する」義務を負わせる形になってしまうことです。買取員にできないことを約束させる条項は、履行できない条項として、契約全体の信頼性を損ないます。
もう一つは、逆に、買取員が型Bで自己の許可を持つ場合に、どの許可を、どの範囲で、いつまで有していることを約束するのかが、曖昧なままになることです。許可の保有の表明は、許可の種類(古物営業法第3条の許可)、許可をした公安委員会、許可証の番号、営業所の所在地を特定し、変更・取消し・停止があったときの通知と、それを解除事由とする書き方が適しています。古物営業の許可は、条文上、有効期間の定めがありません(第3条、第6条参照)から、期間の更新を管理する条項ではなく、取消しや停止、営業所の変更などの事由を通知させる条項になります。
書き方の例(一般的な例)許可に関する条項の書き方
型Aで、買取員に許可を求める条項
理由許可を持つのは委託元です。買取員に許可の維持を約束させるのではなく、委託元の許可の保有と、買取員が自己の名義で営まないことを書くほうが、実態と一致します。
型Bで、買取員の許可を確かめる条項
理由種類・番号・営業所を特定し、変更や処分があったときの通知と解除を結び付けると、許可を失った買取員との取引が続くことを防げます。
報酬の定め方
理由報酬が売上に連動すること自体が名義貸しになるわけではありません。ただ、報酬の仕組みと業務の実態が、買取員の独立した営業に近づいていないかを見る材料になります。名義の貸し借りとの線引きは別のページで整理しています。
契約を結んだ後の管理も欠かせません。型Bの場合、買取員の許可が取り消されたり停止されたりしたときは、委託元もそのまま取引を続けるわけにいきません。許可の変更や処分の事実を、定期的に確かめる仕組み(たとえば、年に一度の許可証の写しの再提出)を書いておくと、通知がなくても把握できます。許可の取消しや停止が起きたときの契約の出口は許可の取消し・停止・失効のときの契約の出口で、古物の卸の契約は古物の卸の契約書で扱っています。
起きがちなこと
出張買取を委託する契約で起きがちなことを、場面別にまとめます。
場面別:起きがちなことと手当て
「委託元が許可を持っているから大丈夫」と聞いて、許可のない人に任せた
起きがちなこと買取員は許可を持たず、委託元の代理人等としての位置づけも契約書に書かれていなかった。実態は独立した営業に近く、型Cの構成になっていた。
手当て型Aか型Bのどちらかを選び、契約書に書く。型Aなら、代理人等として動くこと、行商従業者証を携帯すること、自己の名義で営まないことを書く。
顧客に頼まれて、近くの駅で買い取った
起きがちなこと顧客が自宅への訪問を断り、駅での受渡しを求めた。買取員が応じて、駅で古物を受け取った。
手当て受取りは相手方の住所・居所に限る(第14条第1項)と書く。それ以外の申出があったときは、受け取らずに委託元に連絡する手順を書く。
少額だからと確認を省略した
起きがちなこと買取員が、1万円未満の取引だからと身分証の提示を求めなかったが、その品目は金額にかかわらず確認が必要なものだった。
手当て確認を省略できる範囲は、法令の定めの範囲に限ると書く。品目の確認を買取員に義務づける。
現場の伝票が委託元に届かなかった
起きがちなこと買取員が書いた取引伝票が、委託元の帳簿に取り込まれないまま、行方不明になった。帳簿の記載が欠けた。
手当て伝票の引渡しの期限と方法、原本の帰属、紛失時の即時の連絡を書く。
疑わしい品を、報告せずに処分した
起きがちなこと買取員が不審な品を断らずに買い取り、委託元に連絡せず、そのまま処理した。後で問題になっても、申告の機会を失っていた。
手当て疑いを抱いたときの連絡先と手順、自己判断で処分しないことを書く。
許可番号や標識などを自社のサイトや書面に表示する書き方は許可番号・登録番号・標識の表示と規約・特商法表記の整合で扱います。
契約書の点検リスト(出張買取の委託)
- 型A(代理人等として動く)か型B(自己の許可で営む)かを選び、契約書に書いているか。
- 型Aでは、行商従業者証の携帯・提示・返却を書いているか。型Bでは、買取員の許可の種類・番号・営業所を特定しているか。
- 受取場所を、相手方の住所・居所に限っているか(営業所を除く)。
- 買い取った古物を、営業所へ納める場所と期限を決めているか。
- 相手方の確認の方法、1万円未満の取引の省略の範囲(品目の除外を含む)を、法令の範囲で書いているか。
- 不正品の疑いを抱いたときの連絡先と手順を決めているか。
- 現場の記録の引渡しの期限、原本の帰属、紛失時の連絡、契約終了後の記録の扱いを書いているか。
- 許可の変更・取消し・停止の通知と、解除の結び付きを書いているか。
よくあるご質問
古物の出張買取を業務委託するとき、買取員は許可を持つ必要がありますか。
買取員の立場によります。許可を持つ古物商の代理人等として、その古物営業の一部を担うなら、買取員自身が許可を持つ必要はなく、委託元の許可によって行います。ただし、行商をさせるときは、代理人等に行商従業者証を携帯させる必要があります(古物営業法第11条第2項)。買取員が自己の名義で独立して古物営業を営むなら、買取員自身が許可を受ける必要があります(第3条)。
相手が指定した場所なら、どこでも古物を受け取ってよいですか。
いいえ。古物商は、営業所と取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないとされています(古物営業法第14条第1項)。相手の自宅は含まれますが、駅や路上、喫茶店などは含まれません。仮設店舗で営業するときは、あらかじめ日時と場所を届け出れば例外とされます(同項ただし書)。
帳簿は何年保存する必要がありますか。
古物営業法第18条第1項により、帳簿等は最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存します。電磁的方法による記録の場合は、その記録をした日から3年間、営業所において直ちに書面に表示できるようにして保存します。帳簿等を毀損、亡失したときは、直ちに所轄警察署長に届け出る必要があります(同条第2項)。
1万円未満の買取でも、相手方の確認は必要ですか。
対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満の取引は、相手方の確認の措置を省略できます(古物営業法第15条第2項第1号)。2026年10月時点の規則では、その金額は1万円です(施行規則第16条第1項)。ただし、規則第16条第2項が定める品目は、金額にかかわらず確認が必要です。品目は条文で確かめる必要があります。
個人から買い取るときは、古物営業法だけを守ればよいですか。
いいえ。相手が個人(消費者)で、営業所等以外の場所で買い取る場合は、特定商取引法の訪問購入の規律(同法第58条の4以下)も重なります。勧誘に先立つ氏名等の明示、勧誘の要請をしていない者への勧誘の禁止、契約内容を明らかにする書面の交付、クーリング・オフ、物品の引渡しの拒絶などです。委託契約では、これらを現場で守らせる義務と、クレームの連絡を書いておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、事業の仕組みや契約の内容によって異なることがあります。許可・登録・認定の申請の手続や要件は、このサイトでは扱いません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 警察庁 / 観光庁 / 厚生労働省